〝予防医療〟とは
どんなものでしょう
病気やケガの予防は
明るく、楽しく、積極的に
清賀加藤先生が取り組んでいらっしゃることの一つに予防医療がありますが、病気やケガを未然に防いだり、早期発見に取り組む考え方ですね。
加藤先生はい、簡単に言うと「健康な時から病気に気をつけましょう」ということです。ただ世間一般には〝身体に良いものを食べないと大変なことになりますよ〟〝運動しないとだめですよ〟といった脅かすようなメッセージが多いと感じています。
清賀大切なことがうまく伝わっていないという印象でしょうか。
加藤先生そうですね。病気を減らすためには行動を変えることが必要になりますが、嫌なことを強いられてもやりたくないのは当然だと思います。だから、やっぱり予防医療は、美味しい、楽しい、気持ち良いなど、ポジティブな感情に根ざして行動を変えていくということが大切だと考えています。
清賀楽しいことなら、進んでやりたくなりますね。
加藤先生そうですよね。私は、明るい気持ちで、楽しくできる健康に良いことを取り入れていくことが、予防医療に必要なことだと思ってます。
女性こそ意識したい、
あたためる効果
医学的に研究が進む
サウナの健康効果

清賀先生はサウナの専門家でもいらっしゃいます。サウナに関心をもたれたきっかけは何ですか。
加藤先生元々私は日本とアメリカでがん領域の創薬や検査技術の研究を行っていたのですが、その中でやはり予防や早期発見こそ重要だということを感じていました。そんな時に、ラジオ番組で医学的にサウナを解説してほしいと依頼があり、サウナを体験したのがきっかけです。すると半信半疑だったサウナで〝ととのう〟が良く分かり、これは医者としても身体に良さそうだと思い、それからさまざまな論文を読み漁りました。
清賀医学的に見ても効果がありますか。
加藤先生病気のリスクの低減効果については、さまざまなエビデンスが発表されています。一方でサウナに行くと、無理して入っている方もいらっしゃいます。これは正しい入り方を伝えて、健康効果につなげなければと思いました。それがサウナ学会などの活動にいたっています。
プライベートでサウナを楽しまれている加藤先生。正しい入り方を実践することで、心身の健康や美肌にも良い効果が得られるそう。
あたためは、
自律神経を整えること
清賀先生のご著書には女性ならではのサウナの入浴法なども書かれていますね。サウナなどで身体をあたためることは、女性にとってなぜ必要なのでしょうか。
加藤先生女性は基本的に身体も小さいので外的な影響を受けやすい上、ホルモンバランスの周期もあって、自律神経が乱れやすいのです。そうすると、体温の調節は自律神経が行うので、影響を受けて冷えや不調につながりやすくなります。対して、あたためてからクールダウンすると、自律神経が活性化して元気になりますから、女性には必要なことだといえます。
清賀他に、自律神経を整える上で大切なことはありますか。
加藤先生リラックスする前に、軽い負荷をかけるということです。大切なのは、「緊張」と「緩和」です。人間は一度負荷をかけてからオフにすると深い緩和が訪れ、リラックスの実感が得られやすくなります。例えば、イービーエムのお手入れを受ける前に、軽くウォーキングする、階段をのぼるなども良いと思います。女性は特に交感神経を使い続けて疲れやすいので、意識してほしいですね。
清賀リラックスといえば、睡眠にも体温が関係していますか。
加藤先生深部体温が低いと良く眠れます。身体の表面や指先、足先があたたかくても中心は冷たい、それが深部体温の低い状態です。
清賀自宅ではどのようなことを心がけたらいいでしょうか。
加藤先生深部体温を下げるには、一度あたためることが大事です。入浴などで一度身体の芯まであたためます。その後身体は自然と体温を下げていくので結果的に深部体温が下がり、眠くなります。目安としてお風呂だと寝る90分前から2時間前に入るのが良いでしょう。
女性の健康を、いつまでも
女性は特に気を付けたい
フレイル予防も楽しく
清賀女性の健康に関しては、心も身体も元気に、「健康寿命」を延ばそうという「フレイル予防」も重要ですよね。
加藤先生女性は男性よりも筋力が少なく、骨がもろくなりがちな点は気をつけたいところです。ただこれも心配しすぎるのではなく、楽しみながらできる予防策を見つけると良いですね。例えば温浴施設などで、身体をあたため動かすだけでも、可動域が広がり、転倒予防などにつながります。また、脳をアクティブにする、ということを意識すると良いと思います。日中活動して刺激を与えて、夜しっかり休息できるようにすることです。
清賀よく笑うこともフレイル予防になりますか。
加藤先生まさにそうです。楽しめる趣味を持ったり、美術鑑賞や俳句など、美しいものに触れるのも、フレイル予防に良いと思います。お話したように、緊張と緩和でしっかりと休息できるようになると、脳に余白ができて美しいものを美しいと感じられる感受性も高まります。

手で肌に触れられると
増える《幸せホルモン》

清賀イービーエムでは手で肌に触れる〝手あて〟を大切にしています。医療の観点から〝手あて〟を見るとどういった良いことがあげられますか。
加藤先生多少の力を伴って手で触れられることで、身体の可動域が広がることが一つ。これはフレイル予防にも良い効果をもたらすでしょう。もっと大切なのはオキシトシンというホルモンが出ることです。
清賀いわゆる〝幸せホルモン〟ですね。私たちも、手から安らぎや幸福感を感じていただけたらと思ってお客さまの肌に触れています。
加藤先生手をあてられると、人はその部分に感覚を集中することができます。
清賀自分の感覚に敏感になるということでしょうか。
加藤先生そうです。日々いろいろと考え続けると、脳もずっとエネルギーを消費し続け、疲労感を感じているわけです。でも疲れている脳を休ませましょう、と言われてもなかなかできませんよね。
清賀はい、どうしてもいろいろなことを考えてしまいます。
加藤先生手あてで触れられているところに意識を向けていると、自分の感覚に集中するので、瞑想に近い効果もあるんです。
清賀集中すると、脳が疲れそうに感じますが、逆なのですね。
加藤先生よく時を忘れて何かに没頭することがあると思いますが、あれは一点集中しているから脳が疲れていない、だから長い時間続けられるわけです。
清賀ぜひお手入れ中も手あての感覚を感じていただくように、お伝えしたいと思います。

自分の心身に耳を傾けて
自分に意識を向けることで
生まれる変化の入口
加藤先生生活していると常に周りに意識が向いて、身体の感覚や自分の感情が置き去りになりがちですよね。でも、お手入れでここをほぐすと気持ち良いとか、サウナに入ったら熱いからそろそろ休もうかなど、自分の感覚と向き合う時間は、内受容感覚という感覚を使っていて、感覚や感情を取り戻すことができます。少しでも良いのでそれを認識できる時間を作り、その次に自分の状態に基づいて対処するというのが正しい方法です。そういう意味では、イービーエムのお手入れもサウナも、特別なテクニックがなくても自分と向き合う時間になるところが良いと思います。
清賀自分のことを後回しにして頑張っているお客さまも多いのですが、自分に意識を向ける時間が大切なのですね。
加藤先生「自愛」という言葉のように、自分の内面と向き合い、いたわるプロセスが大切ですね。そうすることで心が穏やかで幸せな状態に近づけると思います。「ウェルビーイング」ともいえるでしょう。
清賀自分をいたわる時間はどれくらいとったら良いでしょうか。
加藤先生基準はありませんが、一日に数分でも良いので定期的に設けることです。日々コンディションは変わりますから、まとめて行うよりも、一日の中で少しずつ意識する方が良いですね。
清賀習慣づけることが大事なんですね。
加藤先生またやり方も自由です。例えば通勤のときに歩き方に意識を向け、息を2秒間吸って4秒間吐くを繰り返しながら駅まで歩くなど、日常生活で気軽に集中する仕組みをつくると良いですね。
脳と腸は相関関係
良い循環を大切に
清賀食事についてはどうでしょうか。気を付けることはありますか。
加藤先生最近の論文でよくいわれているのが、脳と腸管が密接に関係しているということです。実は消化管も自律神経の塊で、脳と腸で情報のやり取りをしているということが分かっています。食習慣や腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の状態と、自律神経の状態がお互い影響し合うのです。
清賀疲れると極端に甘い物や塩辛い物が食べたくなることもありますよね。
加藤先生そうですね。無理せず楽しくしてほしいですが、例えば、そういうときこそ、軽い負荷をかけてから深くリラックスすることを実践して、一度リセットするのも良いと思います。その後、栄養のある美味しいものを食べると良いです。
楽しむことから、健康へ
いつの日か患者の数が
ゼロになる日を夢見て

加藤先生私は「患者をゼロにする」という目標を掲げていますが、そのためには、〝楽しいこと〟を入口にして健康をもっと広めることを目指しています。「楽しみながら健康に」。それを少しでも多くの方に届けたいです。
清賀イービーエムは、お客さまを深く知り、最適なケアをご提供することを追求しています。今日のお話で改めて、お客さまがご自身と向き合える時間をお届けし、いつも笑って人生を楽しむお手伝いができるように、これからも頑張っていきたいと感じました。本日はさまざまな興味深いお話をありがとうございました。


