地球も自分も幸せになる「菌活」 からだに愛を。
 地球に愛を。

特集2地球も自分も
幸せになる「菌活」

からだに愛を。
地球に愛を。

顕微鏡でしか見ることができない生き物 それが、微生物です。
菌やカビ、細菌が含まれ、人に有用なものもあれば、病気を起こすものもいます。豊かな菌が、強い土を作り、元気な野菜を育むように、母乳に含まれるオリゴ糖は、赤ちゃんの腸内のビフィズス菌を増やして成長を守ります。

人間にとって、よい菌も悪い菌も、地球上のありとあらゆるところにいて、すべて生態系のバランスの中で共生しています。「もし地球に菌がいなかったら、何も生存しない」と言われるほど、とても大切な、いまだ未知なる存在です。

未来へとつながる「生命美」について考え、たゆまぬ活動を続けてきたイービーエム。自然環境から人の健康まで支える「菌」について学ぼうと、小さくても、宇宙のような広がりを持つ「菌」の価値と可能性を追求する中村弥和先生を迎え、「菌」と「環境」そして「人」の関わりについてうかがいました。

(右)ゲスト 中村(なかむら) 弥和(みわ) 先生
株式会社Re flora 微生物分析会社
代表取締役
(左)聞き手 清賀(きよが) 邦子(くにこ)
株式会社 イービーエム 取締役
美容家/スキンケアアドバイザー
EBM菌活アドバイザー

菌は地球を循環させている!?

清賀 まず「菌」とは何か、どんな役割を果たしているのか、教えてください。

中村先生 菌は「命の源」。「いなければ、生きていけない」ほどの、地球を循環させている根本の生き物です。
例えば、山では木から枯葉が落ちます。また、たくさんの生物が糞尿を出し、死んだりもします。でも、それらがそのまま積もってはいない。これは地上にいる菌が落ち葉や生物を分解してくれているからです。
また、同様に私たちの身体も生活も、菌の働きでできています。人の体内にも無数の菌が存在していて、食べたものを分解し代謝産物を生み、身体を作ってくれています。そして私たちの排泄物も、下水処理場で菌が分解している。リセットを掛けてくれているのです。もし菌がいなかったら、きっと様々なものが蓄積されたままの状態で、私たちは生活を送ることができませんよね。

清賀 私たちが変わらず美しい風景を楽しむことができるのも、生活を営むことができるのも、菌のおかげなのですね。
先生は「畑から食卓まで循環できる世界」をテーマとして掲げられていますが、目指されたきっかけは何でしょうか。

中村先生 農業の分野から菌の研究を始めたことにあります。江戸時代の農家では、人糞も豊かな土を生む肥料にし、生活のすべてを循環させていたのです。
農作物の根っこには菌がいます。土壌にいる菌は植物の根っこからデンプンをもらい、代わりにリンやカリウムなどの栄養を植物に与えます。この土壌に例えば化学肥料を入れるとします。植物は過剰な養分を摂り入れるということをしないため、即効性のある化学肥料を与えると、菌が生む栄養素を摂り入れることをやめ、菌にデンプンを与えることもなくなります。すると菌はその土壌から逃げてしまい、結果として植物は菌が生む多彩な栄養素を摂り込めないのです。

清賀 栄養分の少ない植物になってしまうのですね。

中村先生 そうです。菌との共生ができた植物はしっかりとした細胞膜が作られ、虫もかじれないし病気になりません。私たちはそういった栄養豊かな植物をいただきたいですよね。
今注目されている、サステナビリティやSDGsを考える時にも、地表の土から食卓、つまり私たちの生活まで、すべてがうまく循環する、ということを考えてほしいと思います。その循環ができてこそ私たちの健康や、すこやかで豊かな心につながっていくのです。

清賀 循環と共生によって豊かなめぐみをいただいている…忘れてはいけないことですね。

バランスの中で共生!
菌と健康や素肌美の関係

清賀 私たちの肌や身体と菌の関係について教えてください。自分と深く関わる菌、素肌美に関わる菌ってどんなものなのでしょう。

中村先生 自分と関わりの深い菌は、〝お母さんの持つ菌〟です。人は生まれる時に産道と授乳からお母さんの菌をもらうので、お母さんの菌は自分の身体に合う菌です。だから、お母さんの手料理は自分に合う菌を補充できる〝お手あて〟なんです。

清賀 驚きです! 興味深いお話ですね。

中村先生 また、私たちの全身にはバリアのように菌が存在して、よい菌がいる人ほど肌は乾燥しません。表皮ブドウ球菌などの菌は、汗や皮脂を分解して脂肪酸やグリセリンを作り、肌を弱酸性の状態にしてうるおいを保ってくれています。
うるおいのある肌を作るには、弱酸性を作る菌をまとうことがポイントです。そして、よい菌がいるところには、肌トラブルの原因となる菌は棲みつけず去っていきます。過剰な「殺菌」ではなく、よい菌のアシストをして菌のバランスを整えることですね。

清賀 なるほど。様々な肌トラブルが菌と関係しているのでしょうか。

中村先生 はい、腸にいる菌との相関も強いです。肌状態の7~8割は、腸の影響だとも言われます。腸は口、つまり身体の外側からつながった筒になっており、皮膚の表面と似た構造を持っているため、腸内の菌の状態がよくないと連動して肌もあれてしまいます。
また、腸内の菌によって栄養素をきちんと細かくできると、吸収率も上がります。多彩で豊富な菌が、バランスがとれた状態で共存することで、身体に負担なく健康に近づけるのです。

からだに愛を。地球に愛を。

清賀 先生のお話を伺って、私たちもたくさんの菌との共生、循環の力に生かされていて、その循環のしくみの一部だと分かりました。よい、悪いの二論ではなく、様々な菌のバランス、調和で成り立っているということも。

中村先生 そうですよね。身近にいる菌の力を借りて、自分の身体、畑から世界まで変えられると思ったらすごいことだと思いませんか。
人は遺伝子を変えることはできませんが、体内の菌の状態は、年齢に関わらず大きく変えられます。色んなものをバランスよく食べて菌の種類や数を増やすこと、そして、たくさん笑うことですね。笑うことで筋肉を使い体温が上がると、善玉菌が働きますから。
一方で、例えば自分の肌の菌を過剰に殺す石鹸や洗剤を使い、それを水に流せば、排水の分解を担う菌も殺して水の質が悪くなります。その水は雨となりやがて人に還ってきます。私たちがそのつながりの一部であることも、考えていただければと思います。

清賀 自分の肌や身体を支える菌を知ることが、豊かな未来を考えることにもつながるのですね。私たちも次の世代までつながる、人のすこやかな生き方をお手伝いする企業として、より一層深めていきたいと思います。

株式会社 Re flora
微生物分析会社 代表取締役
中村 弥和 先生
農林水産省果樹試験場 口之津支場でウィルス研究の論文を書く際にのぞいた電子顕微鏡で菌と出会う。その後、マスコミに就職、TBSラジオでは教育ジャーナリストとして全国番組を担当。執筆として、ママのナビゲーションマーナビ(日本標準出版)、『子どもの心をつかむちょっといい話し方』(日本標準出版)など、女性自身や日経ヘルスにも多数寄稿。現在、株式会社Re flora代表取締役。日本医学ジャーナリスト協会員、環境アセスメント学会学芸員など多数の所属団体理事も歴任。

中村先生は、「菌」の大切さを伝える勉強会や講演会も積極的に行っています。

株式会社 イービーエム 取締役
美容家/スキンケアアドバイザー
EBM菌活アドバイザー
清賀 邦子
中村先生の印象は、いつも元気いっぱいで、はじけるような笑顔の素敵な方。お会いするだけで元気をいただけます。今回は、様々な菌が必要なこと、バランスの大切さを教えていただきました。環境への想いや抱負もうかがい、イービーエムの想いと共通することも多く、力をもらいました。ありがとうございます。
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