堤 信子
Nobuko Tsutsumi
フリーアナウンサー、昭和女子大学、法政大学その他兼任講師。エッセイスト。福岡県生まれ。TV、ラジオ、講演のほか、WEBや誌面での連載など幅広く活躍中。
美しいものが持つチカラ
新年明けましておめでとうございます。
新しい年を迎える朝、澄み渡る冬の空を仰ぎながら、今年はどんな一年にしようかと思いを巡らせる時間は、元日ならではの時間、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
2026年、私は「美しいものになるべく多く触れる年にする」と心に決めました。
美しいものは、ただ目を喜ばせるだけでなく、心と身体に響く周波数を放っています。
雪化粧をした神社の鳥居の鮮やかな朱、音楽ホールに満ちるヴァイオリンの澄んだ音色、ろくろで仕上げられた器の柔らかな曲線──それらに触れると、不思議と呼吸が深くなり、身体のリズムが整っていきます。

美しいものに満たされて
昨秋、京都の庭園で枯山水の砂紋を眺めていると、心が鎮まり、時の流れがゆるやかに感じられました。
また、銀座のギャラリーでモダンアートを前にしたとき、言葉にならない感覚が胸を満たし、思考が広がっていきました。
美しいものは、体調や気持ちが揺らいでいるときにも、自然に調和の方向へ導いてくれる「力」を持っているのです。
日常の美を意識しましょう

芸術作品のみならず、日常のなかにも美は潜んでいます。
朝一番にいれるコーヒーの香りや、便箋にしたためるインクの輝き、友人の何気ない言葉の温かさ。
心が動いた瞬間を「美しい」と名づけるだけで、暮らしは一層豊かになります。
今年は、より意識して、美しいものに触れる習慣を取り入れようと思っています。
月に一度はコンサートホールや美術館を訪れる、日々の食卓に一輪の花を添える、旅先では写真に収める前にまずじっくり景色を味わう。
そんな小さな積み重ねが、心の健康を守り、毎日に彩りを与えてくれる気がします。
素敵な1年のために
音楽や絵画、器、言葉など、全ての美しいものが放つ周波数を惜しみなく浴びて、自分自身を整える1年にしたい、今年は強くそう感じるのです。
相変わらず混沌とした世の中が続いています。
だからこそ、2026年が、皆さまにとって「美しいものに満ちた一年」となりますように。
〜代官山のキッチンから〜
心地よいコーヒータイムにおすすめのコーヒーやおやつの紹介、エッセイ朗読をお届けします。

