迫田 美智代 先生
歯科医師/九州大学歯学部歯学科を卒業後、同大学院に入学。
古賀敏比古教授に師事し、予防歯科の研究。鹿児島大学歯学部大学院に出向、研究テーマは「歯周病菌と心臓病の関連性について」。
「みちよデンタルクリニック」「まさご歯科クリニック」を鹿児島市に開院。
咀嚼とは、食べ物を前歯で噛み切り、奥歯ですりつぶして小さくし、唾液と一緒に飲み込みやすくすることです。咀嚼には、身体の働きを助ける3つの働きがあります。
① 味覚を刺激して唾液や消化液の分泌を促し、消化管での食べ物の消化・吸収を助ける。
② 口腔組織の血流を増やし、口腔内の健康を保ち、正常な発育を促す。
③ 食べ物をよく噛むことで、心理的な満足感を満たす。
さらに、消化を助けるだけでなく、美容や健康面でもプラスの効果が期待できます。
よく噛んで食べると、食べ物が細かくなり表面禎が増えるため、胃の中の消化酵素がよく働いて、必要な栄養がきちんと体内に取り込まれていきます。
同時に、口の感覚が刺激され、情報が大旦に脳に送られて、自律神経を刺激。消化管の働きもよくなってエネルギー代謝も活発になるので、不要物が排出されて、便秘対策にもつながります。
一方、咀嚼が不十分だと十分に噛まないで飲み込んでしまうため、胃の負担を大きくし、消化吸収を妨げて、腸内細菌のバランスも崩れがちに。
よく噛んで食べることは、肥満防止にも効果大です。
「早食いは肥満のもと」と言うように、肥満の方はひと口あたりの食べる塁が多く、噛む回数が少ないと言われています。食事を始めて、脳が満腹と感じるまでの時間が約15~20分。早食いだと満腹を感じる前に食べてしまうので過食となり、太りやすくなります。
ひと口あたりの食べる品を減らしながら、よく噛んで食べる食習慣を身に付けましょう。
また、ゆっくり食べる方が、食後のエネルギーも増加して基礎代謝もアップするという報告もあり、健康的なダイエットにつながります。
咀嚼は、美容面での効果も期待できます。
咀嚼時は、頬やあごなど顔全体の筋肉を動かすため、“よく噛むことを意識する”だけで表情筋のエクササイズになります。
シワやほうれい線のたるみ予防にもなり、二重顎の解消にも最適です。咀嚼することで脳への血流も良くなるため、顔全体の血行もアップ。アンチェイジングにつながります。
また、よく噛むとたくさんの唾液が出てきます。唾液には、殺菌・抗菌作用、抗酸化作用があり、免疫力をアップしてくれます。
日々の生活の中で、よく噛むことを意識して、口元からも美と健康を手に入れましょう。