菌から見る女性の身体と健康もっと知ろう“フェムのこと”

女性特有の健康課題の解決に、今、注目が高まっています。
知っておきたい身体のこと、ケア用品の選び方など、身近な「フェムケア」について、腸内細菌叢専門家の中村弥和先生に、お話をうかがいました。

中村 弥和先生

腸内細菌叢専門家・株式会社Re flora 微生物分析会社 代表取締役/農林水産省果樹試験場 口之津支場でウイルス研究時に人生のテーマとなる菌と出会う。マスコミ就職後、教育ジャーナリストとして全国番組を担当。日本医学ジャーナリスト協会員、環境アセスメント学会学芸員など多数の所属団体理事も歴任。

フェムテック・フェムケアとは

最近、耳にするようになった「フェムテック」や「フェムケア」という言葉。女性(Female)とテクノロジー(Technology)・ケア(Care)をかけあわせた造語で、女性特有の健康課題を解決しようと、日本でもさまざまな研究やサービスが進められています。

働き方改革が進み、従業員の健康促進によって生産性向上を図る健康経営に、多くの企業が取り組むようになりました。そして自ずと、女性特有の健康問題にもっと向き合う必要が出てきました。

これまでは生理や更年期、膣のことなど、「恥ずかしいもの」として隠してきたことを、オープンにしていくこと。そして、女性の身体についてきちんと認識をして、女性の身体能力を上げていくことが、フェムテックやフェムケアの役目だと思います。

生理、どうしていますか

生理のとき、皆さんはどんな対処をしていますか。
ナプキン、タンポン、月経カップなどを用い、お母さんがタンポン派であれば、同じように子どももタンポン派ということも多いようです。
ビデも、当たり前のように使っていらっしゃるのではないかと思います。
ただ、水流には、大腸菌など雑菌が繁殖している場合もあり、膣への感染リスクが上がることを知っておく必要があります。
また、時代とともに進化するナプキンも、コスパで選びがちです。膣は身体の中で一番、経皮吸収をするところなので、漂白しない天然素材や無香料のものをおすすめします。

生理一つをみても、知っておきたいことはたくさんあります。特に若い方はお産に関わってくるので、自分の身体を守るものを使ってほしいと思います。

膣・子宮の健康にかかわる
菌の存在

日本は、出生率が低いにも関わらず、早産率は少しずつ増えています。
私は「早産のリスク菌は何か」をテーマに、膣・子宮にいる菌の関わりを研究しています。
実は、膣内や子宮内には、乳酸菌の一種であるラクトバチルス菌が豊富に存在していて、妊娠に寄与していることが報告されています。
膣の健康を考えるには、菌の存在についても配慮する必要があるのですね。

フェムケアを必要とする声

研究を進める中で、膣に関するお悩みが多く寄せられています。

① 不妊
一番多かった悩みは、「不妊」です。
不妊で悩んでいる、流産を繰り返している、という方々の切実な声があります。

② 乾燥
膣が乾燥してしまうと、粘膜も傷つきやすくなり、感染症のリスクが高くなります。性交痛や不正出血などにもつながりやすく、萎縮性腟炎(老人性腟炎)も乾燥が原因です。老人性といっても、30代にも増えています。

③ ニオイ
膣にニオイをつくる菌を持っている方は強いニオイ、おりものが多い方も多数でした。他人と比較もしにくいため、自分では気が付かない場合もあります。

菌のバランスが壊れる原因とは

妊娠や早産に関わる菌の話や、フェムケアを必要とする声をたどると、膣内の菌のバランスが壊れている方がとでも多いことが分かってきました。
その原因は、ビデの多用、市販ジェルやオイルの挿入、大便時のお尻の拭き方、抗生物質やステロイド剤の多用、ホルモン剤、農薬、ケミカルな環境など、さまざまです。

腸内環境にも目を向けて

腸内環境が整っている人は膣環境も整っています。腸内環境が乱れている人はやはり膣環境も乱れやすいのです。
膣と近い場所にあるので、どんな便を出しているかということも、とても大事なポイントです。
さらに、腸の状態が悪い人は、深部体温が低い傾向にあります。
当然、子宮の温度も低くなるため、病気や不妊のリスクも高まります。

※深部体温:身体の中心部の体温で、約37度とされている。

知っておきたい
フェムケアポイント

膣内の菌の繁殖リスクを防ぐための、フェムケアのポイントを挙げました。

1. ムレさせない

締め付ける下着・服を避け、膣の周囲をムレさせない。

2. 洗い過ぎない

膣内を石鹸で洗ったりすることはやめましょう。きれいなお湯ですすぐくらいでもいいのです。

3. 素材にこだわる

生理用品や下着は、天然素材のものがおすすめ。漂白剤や香料を使ったものは避けましょう。

4. フェムケアミスト

感染や製品酸化のリスクを考えると、ジェルやオイルよりも菌バランスを考えた製品がおすすめです。

5.菌検査

身体にいる菌から分かる健康チェックで、自分の今の状態・傾向を詳しく知ることができます。

正しい知識で正しいケアを

このように、膣の健康を菌から見ていくことは、とても理にかなっています。
正しいフェムケアを知り、大事にケアをすることが、感染症から自分を守り、妊活、早産・流産回避、腸の健康にもつながっていきます。


女性が、女性である自分の身体、膣のことをきちんと知っていくこと。
自分を大事にして愛していくライフスタイルを築くこと。
それが10年後の自分をつくります。
親から子へと、「自分を守りなさい。そして相手を守りなさい」と伝えられたら素敵です。

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