お肌のお悩み・肌トラブル

花粉による肌荒れ対策に!花粉皮膚炎の原因とスキンケアについて

春や秋をピークに、一年中飛び続ける地域も多い花粉。花粉の影響といえば、くしゃみや咳、鼻詰まりのほか、ひどい人は発熱などを伴う花粉症ですが、実はそれだけではありません。
ここでは、花粉によって引き起こされる肌のトラブルのメカニズムや、その対策についてお伝えします。

肌も花粉症になる!花粉皮膚炎とは?

花粉症というと、目のかゆみやくしゃみ、鼻水、鼻詰まりの症状を思い浮かべますが、肌も花粉症になることはあまり知られていません。花粉によって引き起こされる肌荒れは「花粉皮膚炎」といって、花粉が肌を刺激することによって起きてしまうのです。
まずは、花粉症の仕組みと花粉皮膚炎について解説します。

花粉症の仕組み

毎年、2月下旬頃になると、北海道を除く地域でスギ花粉の飛散量が多くなり始めます。3月にはヒノキ花粉、春から秋にかけてイネ科の花粉、そして秋口にはブタクサ花粉と、季節を問わず、一年を通して花粉症の原因となる何らかの花粉が飛散しています。
花粉症は、これらの花粉が体内に入ってきた際に起こる免疫反応です。

花粉が目や鼻から入ってくると、細菌やウイルスのように排除すべきかどうか身体の免疫システムが反応します。免疫システムが花粉を敵(アレルゲン)とみなして排除を決めると、IgE抗体と呼ばれる抗体が作られ、花粉が入ってくるたびに体内に蓄積されます。蓄積されたIgE抗体が一定量を超えると、身体は花粉を体外に排出しようとするため、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が起きるのです。

花粉による肌荒れは花粉皮膚炎

花粉が体内に侵入した場合に引き起こされるのが花粉症ですが、肌に付着した花粉が原因で肌トラブルになった場合は花粉皮膚炎といいます。

本来、肌には外的刺激に対抗するバリア機能が備わっていますが、冬は外の冷たい空気や暖房による乾燥、夏は汗をかいた後の水分の蒸発などによって肌がダメージを負ってしまうと、バリア機能が低下してしまいます。
すると、肌に付着した花粉に免疫システムが過剰反応して肌荒れやかゆみ、ぶつぶつ、肌荒れなどの症状を引き起こすことがあるのです。

■乾燥などで肌のバリア機能が低下

免疫が過剰反応してしまう人が多いのは春先のスギ花粉ですが、ヒノキ花粉やブタクサ花粉などに反応する場合もあるので油断は禁物。元々アレルギー体質の人や、肌に湿疹などが出やすい人は、特に花粉皮膚炎の症状が出やすい傾向があります。
自分が花粉皮膚炎かどうかを確かめるために下記のようなことがないか、肌トラブルの時期と状況を確認してみましょう。

<もしかしたら花粉皮膚炎?>
・毎年、同じ時期に肌荒れの症状が出る
・花粉の飛散量が多い年は肌トラブルもひどくなる

思い当たる場合は、花粉皮膚炎の可能性を考慮してケアを始めることをおすすめします。

花粉によって肌荒れしやすい場所や症状

花粉皮膚炎の症状が出やすいのは、露出度が高く、空気中の花粉が付着しやすい頬やまぶた、首などです。

■花粉皮膚炎の症状が出やすい部位

また、症状の出方は人によってさまざまですが、主に下記のような症状が出ることが多いです。

・かゆみ
まぶたの上や下、頬骨の周辺、首周りなどにかゆみが出ます。かゆみに耐えきれずかいてしまうと、傷になることもあるので注意が必要です。

・赤みや湿疹
症状のある箇所が全体的に赤くなったり、赤みのある斑点が出たりします。中には、赤くなった部分が腫れて、皮膚が盛り上がったようになることも。かゆみを伴う湿疹が出る場合もあります。

・乾燥
皮膚が乾燥し、カサついてメイクのりが悪くなります。特に、皮膚が薄くバリア機能が弱い目の周りは、乾燥しやすい部位です。

・熱っぽさ
かゆみや赤み、湿疹の出ている部分や、乾燥する部分が熱を帯びることがあります。

花粉による肌荒れ対策


花粉が原因の肌荒れを悪化させないためには、早期に正しい対策を行うことが大切です。具体的には、下記の3つを意識して実践するといいでしょう。

正しいスキンケアをする

花粉皮膚炎は、肌のバリア機能が低下していることによって起こりやすくなります。まずは、肌のバリア機能を正常な状態に戻すため、スキンケアを見直しましょう。ポイントは下記の4つです。

・洗顔
ついてしまった花粉や汚れをしっかり落とし、清潔な肌を維持します。

・保湿
入浴や洗顔で肌が濡れたままにしておくと、乾くときに肌内部の水分まで奪われてしまいます。濡れた後は、タオルなどで肌をやさしく押さえて水分を吸い取り、すぐ保湿するようにしてください。

・保護
補ったうるおいを逃さないよう、クリームや美容液でしっかり保湿します。

・肌に刺激を与えない
敏感になっている肌に負荷をかけないよう、物理的な刺激を控えましょう。洗顔の際、闇雲にこすると肌のダメージが大きくなります。メイク落としはこすらずなじませて落とすものを選び、洗顔はよく泡立てたたっぷりの泡でやさしく洗いましょう。保湿も、化粧水を手のひらに伸ばして肌を包み込むようにします。

こうした基本的なケアの成果が目に見えてわかるまでには、ある程度の時間がかかります。そのため、ひどいかゆみや痛み、乾燥に悩んでいる方の中には、まどろっこしいと感じてケアをおざなりにしたり、途中であきらめたくなったりするかもしれません。
しかし、肌の基礎機能であるバリア機能を高めなければ、毎年対症療法を繰り返すだけで、根本的な改善にはつながりません。つらい肌トラブルから抜け出すには、どこかで花粉の影響を受けない肌へと強化する必要があります。

そこで、意識していただきたいのが、「1年後の免疫を高めるスキンケア」です。
丁寧なスキンケアで肌の細胞と細胞膜が強くなれば、肌の免疫力は少しずつアップしていきます。今年のトラブルを改善することではなく、来年以降のトラブルをなくすことを目指して、長期的な目線で肌を育てていきましょう。

スキンケアの正しい方法については、こちらの記事もご覧ください。
スキンケアのやり方はこれでOK!朝と夜で行うひと工夫

花粉などのアレルゲンを避ける

アレルギー症状を引き起こす花粉を避けることも、予防と改善に有効なセルフケアです。

・マスクやメガネ、帽子で花粉から身を守る
できるだけ花粉と接触しないよう、マスクやメガネ、帽子を活用して花粉がつきやすい部分の露出を減らしましょう。メガネやマスクを装着するだけで、鼻や目から入り込む花粉の量が半減するという調査結果もあります。

・花粉がつきにくい服を選ぶ
羊毛のセーターなどは、花粉が付着しやすいのでできるだけ避けましょう。帰宅後は、家に帰る前に衣服をはたいて、家の中に花粉を持ち込まないようにすることも大切です。

・洗濯物や布団を外に干さない
花粉がピークのときは、洗濯物や布団は部屋干しが◎。換気も必要最小限にして、窓を開けるときはレースのカーテンと網戸で花粉を防ぎ、空気清浄機を活用して花粉が侵入しないようにしましょう。

・日焼け止めやメイクをする
顔や首に直接花粉がつくのを避けるため、日焼け止めやファンデーションを塗って肌にバリアを作るのも有効です。肌に負担をかけないよう、低刺激のものをおすすめします。洗顔や保湿と同様、つけるときはやさしく肌になじませて、こすらないようにしてください。

規則正しい生活で肌荒れ改善へ

肌の状態をすこやかに保つため、下記の項目を意識して規則正しい生活を送りましょう。

・よく食べ、よく眠る
肌を作るたんぱく質や、美肌に欠かせないビタミンやミネラルをバランスよくとること、十分な睡眠をとって肌を休めることが、すこやかな肌への第一歩。食生活の乱れや睡眠不足は、免疫力を低下させます。

・ストレスを溜めない
ストレスが溜まると、自律神経のバランスが崩れ、免疫力も低下して、花粉の勢いに負けてしまいます。適度な運動をする、ゆっくり入浴して心身をリラックスさせるなど、ストレスを発散する工夫を取り入れて、イライラを溜め込まないようにしましょう。

・たばことは距離を置く
たばこは、肌の血流を悪化させ、うるおいやハリを奪っていきます。煙が鼻の粘膜を傷つけることで花粉が入り込みやすくなるので、肌の調子を改善するためには禁煙がベスト。副流煙の影響を受けないよう、喫煙者のそばに寄らないことも心掛けてください。

・ひどい場合は皮膚科を受診
花粉皮膚炎の症状が悪化すると、普段使っているスキンケア用品やメイク用品、シャンプーなどが刺激になり、炎症がより悪化してしまう可能性があります。人によっては症状が全身に及ぶこともあるため、セルフケアで改善しないときはすみやかに皮膚科を受診して薬の処方を受けましょう。
処方された薬を使用し始めてからも、翌年以降の症状をやわらげるため、花粉の季節は基本のスキンケアの徹底を忘れずに。アレルゲンである花粉を避けることや、規則正しい生活習慣も継続することが大切です。

花粉だけじゃない!季節の変わり目の肌トラブル

季節の変わり目の肌トラブルは、花粉だけではありません。季節ごとの代表的なトラブルを把握し、日頃からケアと対策を徹底しましょう。

気温上昇による汗や皮脂の分泌過多

夏の暑い時期は、汗や皮脂が大量に分泌されます。湿ってうるおっているように感じますが、汗が蒸発するときに水分が奪われて乾燥したり、落としきれなかった皮脂が肌に蓄積されたりして、肌荒れの原因になるので要注意。汗はこまめに拭き、皮脂は丁寧に落としましょう。

紫外線量の増加

紫外線を浴びた肌は、角質を溜めて刺激に対抗しようとします。すると、肌の代謝が落ちたり、雑菌が繁殖したりして、肌トラブルの原因に。一年を通して、紫外線対策は必須です。

新しい環境によるストレス増加

春は、新生活がスタートする時期でもあります。新しい人や環境に慣れるまでは、上手にストレスを発散して、肌に負担をかけないようにしましょう。

自律神経の乱れ

自律神経が乱れると、肌の血流が悪くなって疲れて見える上、肌のターンオーバーのサイクルにも影響が及びます。血行をよくするストレッチを取り入れたり、朝日を浴びて幸せホルモンのセロトニンの分泌を促したりして、自律神経を整えましょう。

季節の変わり目に肌トラブルを感じたら、プロの手を頼ろう

季節の変わり目は、花粉をはじめ、さまざまな原因で肌トラブルが起こりやすくなるもの。入浴中や就寝前などに肌と対話する時間を取って、ちょっとした変化を見逃さないようにしましょう。「おかしいな」と思ったら、早めに対策をすることが肌トラブルを長期化させないコツです。

「毎年、花粉の時期がつらい…」「環境が変化すると肌に影響が出る」といった自覚がある方は、プロに頼ってみるのもひとつの手です。まずは、マイナスの肌をニュートラルな状態に持っていくことを目指して、スペシャルケアを取り入れてみませんか。
基礎化粧品会社イービーエムが展開する全国のスキンケアスタジオでは、お一人おひとりの肌や体質に合った化粧品をベースに、心を込めた美と健康の「手あて」をいたします。肌やスキンケアでお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。