お肌のお悩み・肌トラブル

【医師監修】イオン導入の効果や気になる副作用を徹底解説!

シミやくすみ、毛穴といった肌悩みへのスペシャルケアとして知られているのが、肌の奥まで美容成分を届けるイオン導入です。しかし、イオン導入という言葉を聞いたことはあっても、「どんな効果があるの?」「仕組みがよくわからない」と疑問に思っている人は多いのではないでしょうか。
ここでは、イオン導入の仕組みや効果、施術の流れなどを、イオン導入にまつわる注意点や疑問点とともに解説します。

イオン導入とは?

イオン導入とは、通常なら肌に浸透させにくい美容成分を肌の奥深くまで送り届ける方法のことです。水溶性のビタミンCやアミノ酸、プラセンタなどは、一般的なスキンケアだけではうまく肌に吸収させることができません。それらの成分を電流の力で肌の奥まで浸透させ、より高い美容効果を目指すのがイオン導入です。

■イオン導入のイメージ

イオン導入が必要な理由

肌には、異物の浸入や水分の蒸発を防ぐバリア機能が備わっています。バリア機能はすこやかな肌を維持するために欠かせないものですが、一方で、美容成分の浸透も邪魔してしまいます。そのため、化粧水などを手やコットンで塗っただけでは、有効成分を肌の奥(基底層、真皮)まで届けることができません。
イオン導入では、微弱な電流によって、このバリア機能を一時的にゆるめます。こうすることによって、化粧水などに含まれる有効成分がバリアを突き抜けて、肌の奥まで届くのです。

イオン導入のメカニズム

イオン導入の仕組みを、もう少し詳しく解説します。肌の最も外側にある角質層は酸性で、プラスイオンを多く帯びています。そして、その下にある顆粒層はマイナスイオンでアルカリ性に保たれています。そのため、2つの層は互いに反発し合い、電気的な境目ができています。美容成分を肌に塗っただけでは浸透しにくいのは、この境目がバリアとなって、角質層より奥に届かないからです。
しかし、美容成分を塗布した肌にイオン導入器で微弱な電流を流すと成分がイオン化し、この境目が一時的にゆらぎます。その結果、バリア機能が薄らぐため、美容成分を肌の深層まで浸透させることができるのです。

イオン導入がおすすめの人


年齢を重ねると、肌のキメやターンオーバーのサイクルが乱れ、さまざまな変化が現れます。イオン導入は、このような肌の老化が気になる人や、肌の老化を予防したい人に向いている施術です。例えば、シミやくすみ、肝斑、毛穴の開きといった悩みに効果的だといわれています。

美容成分別・イオン導入の効果とメリット

イオン導入の効果は、浸透させる美容成分によって異なります。
肌の悩みに合わせた成分をイオン導入することによって、肌のハリに欠かせないエラスチンやコラーゲン合成の促進、老化の原因となる活性酸素の除去、メラニン色素の抑制や色素沈着の改善などの効果が期待できます。そのほか、次のような悩みを持つ人にはイオン導入が効果的といえます。
<期待できる効果の例>
・エイジングケア
・毛穴の洗浄
・毛穴引き締め
・老廃物の除去
・美肌
・ニキビやニキビ跡対策 など

ここからは、イオン導入に使われる代表的な成分ごとに、期待できる効果を解説していきます。

ビタミンA

ビタミンAには、皮膚や粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があります。肌のバリア機能を改善し、紫外線ダメージによるシミやシワ、乾燥を防ぐ効果が期待できます。

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用に優れ、炎症や老化などから肌を守る働きがあります。また、コラーゲン生成の促進、メラニン抑制、皮脂コントロール、ターンオーバーの正常化など、幅広い悩みに対応する美容成分です。

ビタミンE

抗酸化作用と血流改善作用を持つビタミンEは、エイジングケアに効果的な成分として知られています。血流がよくなれば肌に栄養が行き届くようになり、うるおいもアップするでしょう。

プラセンタ

プラセンタは、ヒトやブタ、ウマなど動物の胎盤から抽出された成分です。健康な肌を作るために欠かせないアミノ酸やビタミン、ミネラルを豊富に含み、コラーゲンやエラスチンの生成を促します。

トラネキサム酸

トラネキサム酸は、トランサミンとも呼ばれるアミノ酸の一種で、ニキビなどを防ぐ抗炎症作用や色素沈着を防ぐ美白効果が期待できる成分です。シミや肝斑の予防効果もあるとされています。

グリシルグリシン

グリシルグリシンは、毛穴の開きが気になる方におすすめの成分です。細胞内のイオンバランスを整えて正常な角化を促し、毛穴を目立たなくさせる効果が期待できます。

イオン導入の施術の流れ

イオン導入の施術にかかる時間は、導入する成分の種類によりますが、一般的に5~10分程度です。ただし、ビタミンCとトラネキサム酸など、複数の成分を組み合わせて導入する場合は、施術時間がやや延びる可能性があります。ダウンタイムはほとんどなく、施術直後から洗顔やメイクが可能です。当日のシャワーや入浴も問題ありません。
イオン導入をサロンで行う場合、基本的な施術の流れは下記のとおりです。

1. カウンセリング

施術の前にはカウンセリングを行います。カウンセリングでは、肌の状態を確認すると同時に、施術の詳細や効果、費用、施術後の注意点などについて説明があります。疑問点や不明点がある場合は、遠慮なく質問してください。

2. 洗顔

美容成分を肌にしっかり導入するため、洗顔をしてメイクや汚れを落とします。ほとんどのサロンではクレンジングや洗顔料が用意されていますが、心配な場合はあらかじめ確認をしておきましょう。

3. 施術

改善したい悩みや希望に合わせて、美容成分を肌に導入していきます。

4. アフターケア

保湿ケアとUVケアをして終了です。施術後はメイクをして帰宅できます。

イオン導入の注意点

イオン導入には、副作用やダウンタイムはほとんどありません。しかし、カウンセリングでしっかりと説明を聞き、十分納得した上で施術を受けることが大切です。また、施術後は保湿ケアと日焼け対策を徹底しましょう。イオン導入の主な注意点は下記のとおりです。

美容成分が肌に合わない場合に炎症などトラブルが起きる場合も

イオン導入には大きな副作用はないものの、導入する美容成分が肌に合わないと、肌に赤みや熱っぽさなどを生じる可能性があります。そのほか、使用する成分にアレルギーがある場合、かゆみや痛み、腫れ、発疹などが起こることがあります。このような症状は数日で治まることがほとんどですが、万が一続くようなら医師に相談しましょう。
たとえアレルギーがなくても、生理中や体調不良、日焼け、乾燥などで肌のバリア機能が乱れているときなどは、肌が敏感になって刺激を感じやすくなります。不安がある場合は、必ずカウンセリングの際に相談してください。

施術を受けられない人がいる

イオン導入では、微弱ではあるものの肌に電流を流します。そのため、ペースメーカーを使用中の人、妊娠中の人、心臓病のある人、てんかんの既往のある人、不整脈で内服・通院中の人は、原則として施術を受けることができません。不安がある場合は自分が施術を受けられるか、必ず確認してください。

イオン導入のQ&A

ここからは、イオン導入のよくある疑問点について解説していきます。

Q イオン導入をするときに痛みはありますか?

イオン導入は電流を伴うため、「痛みがあるのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし実際は、痛みはほとんどありません。微弱な電気を使用するため、人によってはピリピリとした刺激を感じることがありますが、出力を調整しての施術が可能です。

Q イオン導入をサロンで施術する場合と、セルフケアで行う場合で違いはありますか?

家庭用のイオン導入器は、サロンで使用するものに比べて出力レベルが抑えられています。性能の差を考えれば、サロンで施術を受けたほうが高い効果を得られるでしょう。
また、イオン導入には、美容成分に向き不向きがあります。自分でイオン導入を行う際、普段使っている化粧水や美容液では、肌に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。サロンでは美容のプロが肌の状態を見極め、悩みや希望に合わせて最適な成分を提案してくれるので、安心して施術を受けることができます。

Q イオン導入を行う頻度の目安は?

サロンによってイオン導入の推奨頻度は異なりますが、2~4週間に1度のペースが一般的です。なお、イオン導入で浸透させた美容成分が肌にとどまるのは、約72時間といわれています。そのため、より高い効果を実感したい場合は、週に2回のイオン導入がおすすめです。

イオン導入で効率よく美肌を目指そう

化粧水や美容液をただ肌に塗るだけでは、せっかくの美容成分を奥深くまで浸透させることができません。そんなときは、イオン導入を行えば、美容成分を効率よく肌に届けられます。イオン導入は、使用する成分によって、シミやシワ、くすみ、毛穴の開きなど、さまざまな肌悩みにアプローチできます。スペシャルケアとして上手に活用し、いきいきとした美しい素肌を手に入れましょう。

基礎化粧品会社イービーエムが展開する全国の「スキンケアスタジオ」では、お一人おひとりの肌や体質に合った化粧品をベースに、心を込めた美と健康の「手あて」をいたします。肌やスキンケアでお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。