お肌のお悩み・肌トラブル

意外に知らない日焼け止めの正しい塗り方

最も身近な紫外線対策といえる日焼け止め。しかし、なんとなく日焼け止めを使ってはいるものの、正しい塗り方を実践している人は意外と少ないかもしれません。紫外線による肌へのダメージを防ぐには、日焼け止めを正しく使うことが大切といえるのです。
ここでは、顔や身体への日焼け止めの正しい塗り方や、メイクをするときの日焼け止めの使い方をご紹介します。また、ついやってしまいがちな日焼け止めの落とし穴についても見ていきましょう。

日焼け止めは一年中必要!

暑い夏や日差しの強い日には日焼け止めを塗っていても、「冬や曇りの日は日焼け止めを使わない」という人もいるでしょう。しかし、季節や天候にかかわらず、紫外線は一年中降り注いでいます。
紫外線ダメージから肌をしっかり守るには、一年を通して日焼け止めが必要です。その理由には、下記のようなものがあります。

肌トラブルの原因の多くを占めるのは紫外線

無防備に紫外線を浴びると、さまざまな肌トラブルを引き起こす原因になります。
まず、紫外線の刺激を受けると肌のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなります。同時に角質層が厚くなり、毛穴をふさいでニキビの原因になったり、肌のざらつきやごわつきを招いたりしてしまいます。さらに、紫外線によってメラニン色素が過剰に生成されると、シミやくすみを引き起こすことに。皮膚内部まで入り込んだ紫外線がコラーゲンにダメージを与え、シワやたるみを生じさせることもあります。

紫外線のピーク時以外も年間を通して予防が必要


地上に届く紫外線には、UV-A(紫外線A波)とUV-B(紫外線B波)の2種類があります。地表に降り注ぐ紫外線の約90%を占めるUV-Aは、肌の奥深くまで到達してシワやたるみを引き起こすもの。一方で、UV-Bは主に肌の表面で吸収され、メラニンを増加させてシミやソバカスの原因となります。
紫外線量のピークは、UV-Aが4~8月、UV-Bが5~8月だといわれますが、ピーク時以外でも常に紫外線は降り注いでおり、中でもUV-Aは、秋冬でもピーク時の半分以上の量があるのです。年間を通して紫外線対策をすることが重要といえるでしょう。

曇天でも快晴の60%程度の紫外線が降り注ぐ

快晴時の紫外線量を100%とした場合、少し雲が出ている場合で80~90%、曇天なら約60%、雨天でも約30%の紫外線が降り注いでいるといわれます。曇りや雨の日は、快晴の日に比べれば紫外線量は少なくなるものの、完全になくなるわけではありません。
特に、UV-Aは雲やガラスなども通過する性質があります。天気が悪くても油断せず、きちんと日焼け止めを塗りましょう。

日焼け止めの正しい塗り方

日焼け止めの効果をしっかり引き出すには、正しい方法で塗ることが大切です。ここからは部位別に、日焼け止めの正しい塗り方をご紹介します。

顔、首


まずは、日焼け止めの商品パッケージに記載された使用量を確認し、適量を手のひらに取り、額・鼻・両頬・あごの5点に日焼け止めをのせます。
その後、頬、鼻、口周り、フェイスライン、目の周りの順に、中指と薬指の2本を使って丁寧になじませていきます。髪の生え際、まぶた、眉間、小鼻の脇、唇などは、塗り残しがちな場所なので注意してください。隅々まで日焼け止めをなじませたら、もう一度同じ量を手に取って重ねづけします。
また、首に日焼け止めを塗るときは、適量を手に取って首と襟足に数点ずつのせ、それから下から上に向かってなじませていきます。首はシワが入りやすいため、前側を塗るときは上を、後ろ側を塗るときは下を向いて、ストレッチのように皮膚を伸ばしながら塗るといいでしょう。

腕、脚


腕や脚に日焼け止めを塗るときは、容器から肌の上に直接、線状にたっぷりと出します。太ももなど面積の大きな部位は、線をもう1本分追加してください。
身体は面積が広いため、顔のように指先で日焼け止めを伸ばすとムラになってしまいます。肌に日焼け止めをのせたら、手のひら全体を使って大きく円を描くように広げながら、なじませましょう。デコルテやひざの裏、手足の甲などは塗り残ししやすいので、念入りにチェックを。襟元や脇が開いた服を着るときなどは、背中や身体の側面にもしっかり日焼け止めを塗ってください。

髪、頭皮

顔や身体には日焼け止めを塗っていても、見落としがちなのが髪と頭皮。紫外線は髪や頭皮を乾燥させ、髪のパサつきや枝毛、切れ毛、枝毛のほか、抜け毛につながる可能性があります。髪用の日焼け止めスプレーを使って、しっかり紫外線対策を行いましょう。
まずブラシで髪をとかし、絡まりやほこりなどを取り除いてから、頭皮から10~15cm程離して日焼け止めスプレーを噴射します。スプレーの容器をジグザグに動かし、ムラなく全体に吹きかけるようにしましょう。その後、もう一度ブラッシングをして日焼け止めを髪になじませます。

メイクするとき、日焼け止めはどうする?

メイクをするとき、日焼け止めをどのタイミングで塗ればいいのか迷う人もいるかもしれません。また、日焼け止めはこまめに塗り直すことが大切ですが、メイクをした後で塗り直すにはどうすればいいのでしょうか。

下地になるタイプの日焼け止めを活用

日焼け止めを塗るタイミングはメイクの前です。洗顔後、化粧水や乳液などでスキンケアをしてから日焼け止めを塗り、その後化粧下地を塗る流れになります。
紫外線を防ぐ日焼け止めに対して、化粧下地は肌をメイクがのりやすい状態に整えるもの。それぞれ働きが違うため、基本的には日焼け止めと下地は両方使ってOKです。
ただし、「朝は忙しいので手間を減らしたい」「あまりアイテムを重ねたくない」という場合は、化粧下地としても使える日焼け止めを活用するのも、ひとつの方法です。

日焼け止め効果のあるファンデーションを選ぶ

紫外線対策を徹底するなら、ファンデーションはSPFやPAが表示された、UVカット効果のあるものを選んでください。日焼け止めとUVカット効果のあるファンデーションを重ね塗りしておくと、万が一塗りムラがあったりメイクが崩れたりしたときも、紫外線ダメージを減らすことができます。

日焼け止めの塗り直しはスプレータイプが有効

日焼け止めは、2~3時間置きの塗り直しがベストです。とはいえ、メイクをした状態で上から日焼け止めを塗ると、ファンデーションがよれてしまいます。そのような場合は、まずティッシュなどで肌表面の余計な皮脂を取り除き、スプレーやパウダータイプの日焼け止めを重ねるのがおすすめです。
スプレータイプの日焼け止めは、直接顔に吹きつけるのではなく、一度手のひらに出してから塗るタイプが多いです。メイクがよれないように気をつけながら、指全体を使ってなじませてください。直接顔に吹きつけたい場合は、噴射が穏やかで刺激の弱い日焼け止めスプレーを選びましょう。

日焼け止めの選び方についてはこちらの記事もご覧ください。
日焼け止めが肌荒れの原因に?肌にやさしい日焼け止めの選び方

やってしまいがちな日焼け止めのNG例


きちんと日焼け止めを塗っているつもりでも、知らず知らずのうちにやってしまうNGな使い方があります。日焼け止めを塗るときに次のようなことをしていないか、あらためて見直してみてください。

去年の日焼け止めを使う

日焼け止めは開封すると徐々に酸化し、成分が劣化していきます。去年の日焼け止めが残っていても、使用は避けるのがベター。パッケージに書かれた使用期限にかかわらず、日焼け止めは、一度開封したら3ヵ月以内を目安に使いきるのが理想です。
なお、日焼け止めは、屋内で過ごす場合も晴れ以外の天候でも毎日使うべきものですから、ワンシーズンで使いきれずに残ってしまった場合、そもそも塗る量が少なかったり、きちんと塗り直しができていなかったりする可能性があります。

1ヵ所から伸ばして塗る

日焼け止めを1ヵ所から伸ばして塗ると、塗りムラを招きやすくなります。また、まぶたや眉間、小鼻といった、細かい部分を塗り忘れるリスクも高くなります。
顔のパーツごとに日焼け止めをのせ、ムラにならないように塗り広げてください。

少量をすり込む

日焼け止めは少量を薄くすり込んでも、効果は十分に発揮されません。商品によっても適正量は異なりますが、一般的に日焼け止めに表記されたUVカット効果を得るには、顔全体で液状なら500円玉1個分、クリーム状ならパール粒2個分くらいの量が必要といわれています。「多すぎるかなと思うくらいでちょうどいい」と意識してください。

外出前に塗ってそのまま

日焼け止めは、2~3時間置きに塗り直しをすることが大切です。SPFやPAの値が高かったりウォータープルーフタイプであったりしても、塗り直さなければ効果は時間とともに薄くなります。
朝、メイクの前に日焼け止めを塗ってそのままにせず、昼休みや午後に外に出る場合は塗り直したいもの。屋内でも日光が入る場所であれば、同様に2~3時間置きの塗り直しが望ましいです。

日焼け止めを塗る際のポイント


日焼け止めを塗る際には、意外と知らない大切なポイントがあります。次に挙げるポイントを押さえておき、万全な紫外線対策を心掛けましょう。

保湿してから塗る

日焼け止めは、必ず保湿ケアをしてから塗ってください。保湿が不十分だと肌の水分が不足し、乾燥から皮脂の分泌が過剰になる可能性があります。その状態で日焼け止めとメイクを重ねると、皮脂崩れが起きやすくなってしまいます。化粧水で肌にうるおいを与えた後、乳液やクリームで蓋をして、それから日焼け止めを塗るようにしましょう。

日焼け止めの適量は意外と多い

日焼け止めのUVカット効果は、SPFとPAで表示されます。SPFはUV-Bを防ぐ指数で、数値が大きいほど効果が高くなります。また、PAはUV-Aを防ぐ指数で、+の数が多いほど効果が高くなります。

SPFとPAの値は、日焼け止めの容器やパッケージに書かれていますが、どのような塗り方をしても表示どおりの効果が得られるわけではありません。日焼け止めに表記されたUVカット効果を発揮させるためには、目安として、皮膚1平方センチメートルあたり2mgが必要だといわれています。ほとんどの人にとって日焼け止めの適正量は、普段塗っている量よりも多いと考えたほうがいいでしょう。

日焼けしやすい箇所は厚めに塗る

額やこめかみ、頬骨の高くなっている部分は、顔の中でも日焼けしやすい場所です。将来、シミやシワを作らないために、これらの日焼けしやすい部分は日焼け止めを厚めに塗るのがおすすめです。

2~3時間置きに塗り直す

日焼け止めは、汗をかいたり肌が衣服などとこすれたりすることによって、少しずつ落ちていきます。また、日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤の中には、一定量の紫外線を吸収すると効果が弱まるものがあります。
日焼け止めのUVカット効果をキープするには、2~3時間置きの塗り直しが必要です。外出するときはもちろん、屋内にいても、窓から紫外線が入るような場合は忘れずに塗り直しましょう。

日焼け止めを正しく塗って、紫外線から肌を守ろう

夏に使うイメージのある日焼け止めですが、紫外線は年中降り注いでいますから、肌を守るためには季節を問わず対策が必須です。また、日焼け止めは、正しい塗り方をしないとその効果を十分発揮させることができません。
日焼け止めを正しく使ってしっかりと紫外線を防ぎ、肌トラブルのない美しい肌を目指しましょう。

基礎化粧品会社イービーエムが展開する全国の「スキンケアスタジオ」では、お一人おひとりの肌や体質に合った化粧品をベースに、心を込めた美と健康の「手あて」をいたします。肌やスキンケアでお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。