お肌のお悩み・肌トラブル

ターンオーバーとは?サイクルが乱れる原因と整える方法

私たちの肌の細胞は一定周期で生まれ変わっており、そのためにすこやかな美しい肌を保つことができます。しかし、何らかの理由で、この「ターンオーバー」のサイクルが乱れると、肌にさまざまなトラブルが起きてしまうのです。
ここでは、肌の代謝の仕組みであるターンオーバーについて解説します。また、サイクルが乱れてしまう原因や整えるための方法を紹介しましょう。

ターンオーバーとは肌の代謝の仕組み

ターンオーバーとは、肌の細胞が一定周期で生まれ変わる代謝の仕組みのことです。
人の肌は、表面から表皮、真皮、皮下組織、筋肉へと続く多層構造になっており、ターンオーバーは、肌の一番外側にあたる、表皮の細胞が生まれ変わることを指します。健康な肌の場合、ターンオーバーは約28日間のサイクルで起こっています。

ターンオーバーのメカニズム


肌の表面の組織であり、ターンオーバーの舞台である表皮は4つの層に分かれており、表面から順に「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」となります。一番奥の基底層で新しい細胞が生まれ、成長しながら上へ上へと押し上げられ、約28日で肌の表面へと移動。約14日間後に垢となってはがれ落ちます。これがターンオーバーのサイクルです。
表皮の重要な役割は、花粉や紫外線、乾燥といった外的刺激から身体を守ること。ターンオーバーによって、常に表皮の古い細胞が新しい細胞と入れ替わり、肌のバリア機能が保たれます。

ターンオーバーが乱れる原因

ターンオーバーは約28日周期で繰り返されますが、さまざまな要因によってサイクルが乱れてしまうことがあります。ターンオーバーが乱れる原因は、主に下記のようなものがあります。

紫外線と乾燥

表皮が紫外線や乾燥でダメージを受けると、肌は肌内部を守ろうとターンオーバーのサイクルを早め、急いで肌細胞を作ろうとします。すると、十分に成長しきれていない肌細胞が表面に現れ、外的刺激に弱い状態に。未熟な肌細胞は水分を保持する機能が弱く、肌はカサカサと乾燥した状態になってしまいます。さらに、未熟な肌細胞ははがれ落ちる機能も低いため、肌表面にとどまってくすみやゴワつきにつながったり、毛穴をふさいでニキビの原因になったりすることもあります。

生活習慣の乱れ

ターンオーバーは生活習慣と密接に関係しています。ターンオーバーに関係している成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、睡眠不足が続けば当然サイクルは乱れます。また、栄養バランスの偏りが続くと、肌細胞の材料が足らず、ターンオーバーに影響が出るでしょう。
無理なダイエットや運動不足、過剰なストレスなども、肌細胞の材料不足やターンオーバーのエネルギー不足につながり、サイクルが乱れる原因になります。

間違ったスキンケア

間違ったスキンケアも、肌のターンオーバーが乱れる一因です。洗顔やクレンジングが不十分だと、はがれ落ちるべき古い細胞がはがれず、毛穴の黒ずみの原因になります。
反対に、洗浄力が強すぎるクレンジング剤や洗顔料を使い続けたり、ゴシゴシこすったりすると、ターンオーバーサイクルに影響が出ます。また、スキンケアで十分に保湿できていない場合も、ターンオーバーのサイクルが乱れる原因になるでしょう。

加齢

表皮細胞が生まれてからはがれ落ちるまでのターンオーバーサイクルの長さは、20代で28日、40代で50日、60代では100日前後が目安と、年齢が上がるにつれて長くなる傾向があります。サイクルが長くなると、その分シミやソバカスができやすくなったり、傷跡が消えるまでに時間がかかったりします。
また、加齢によって肌の水分や皮脂が減ることでバリア機能が低下し、ターンオーバーが早まってしまうこともあるようです。

ターンオーバーが乱れるとどうなる?


肌のターンオーバーが乱れると、新しい皮膚と古い皮膚の交代がうまくいかなくなります。新しい皮膚ができているのに古い皮膚がはがれ落ちなかったり、反対に新しい皮膚ができていないのに古い皮膚がはがれ落ちたりするため、肌には下記のようなトラブルが起こります。

はがれない角層が厚くなる

本来ならはがれ落ちるべき古い角層細胞が蓄積するため、角層の一部が厚くなり、肌の表面に凹凸ができたりザラついたりします。そのため、肌の透明感が失われてくすんで見え、老けた印象になりがちです。

乾燥してハリがなく小ジワができやすい

ターンオーバーがうまくいかないと肌は乾燥してしまいます。水分の不足から肌のハリもなくなり、小ジワができやすくなります。

メラニンが排出されずにシミになる

紫外線を浴びたことで生成され、細胞に蓄えられるメラニンは、ターンオーバーのタイミングで古い角質といっしょに排出されます。ターンオーバーの乱れでうまく古い細胞が排出されなければ、メラニンも排出されません。このような状態が長く続くとメラニン色素が沈着し、シミやソバカスの原因になります。

毛穴が詰まってニキビができやすくなる

ターンオーバーが乱れることで、はがれ落ちない古い角質が毛穴に詰まり、ニキビができやすくなります。
特に、ターンオーバーのサイクルが早く未成熟な細胞が作られている場合、はがれ落ちる機能も弱いため、毛穴に溜まりがちとなるでしょう。古い細胞と皮脂で角栓ができ、毛穴が目立つばかりか、詰まった毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こしてニキビになってしまいます。

肌のバリア機能が失われて肌トラブルを引き起こす

ターンオーバーが乱れると、外部の刺激から肌を守るバリア機能が低下します。紫外線や摩擦、ほこり、花粉、乾燥といった外部刺激によって、さまざまな肌トラブルが起きる可能性があるでしょう。例えば、肌のかゆみ、乾燥、赤み、シワ、シミ、ニキビが増えるといったことが挙げられます。

ターンオーバーを整えるには?

ターンオーバーを整え、理想的な約28日間のサイクルを保つには、乱れる原因を遠ざけることです。そのために、特に気をつけたいポイントを、5つご紹介しましょう。

通年で紫外線ケアする

肌にダメージを与える紫外線には、UV-AとUV-Bがあります。UV-Aは皮膚の奥深くにある真皮にまで届いて皮膚の老化を進め、肌のたるみやシワの原因となります。一方、UV-Bはシミやソバカスの原因のひとつです。
紫外線が最も強くなるのは5~8月ですが、ほかの季節でもある程度紫外線は降り注いでいます。紫外線のケアは一年を通じて行う必要があるでしょう。

日焼けについてはこちらの記事もご覧ください。
うっかり日焼けしてしまったら?日焼け後のアフターケア

正しいスキンケアを行う

ターンオーバーが乱れる原因のひとつである乾燥を防ぐには、正しいスキンケアが大切です。正しいケアとは、しっかりクレンジングする、泡でやさしく洗い上げる、化粧水だけでなく乳液やクリームで保湿するといった基本のケアを指します。

必ず保湿する

肌の乾燥を防ぐ上で、保湿ケアは非常に重要です。たっぷり化粧水を使うことはもちろん、美容液の併用もおすすめ。ベタつきが気になる場合でも、化粧水やクリームを省略せず、しっかり保湿してください。日焼け止めや化粧品にも保湿効果のある成分を配合したタイプがありますので、併せて使うのもおすすめです。

乾燥を防ぐためにはこちらの記事もご覧ください。
どうして肌は乾燥する?原因と正しい対策について

ストレスを溜めず規則正しい生活を送る

せっかく紫外線対策や保湿ケアを行っても、睡眠不足や過度なストレス、栄養バランスの偏り、運動不足など、生活習慣が乱れていると、ターンオーバーのサイクルも乱れてしまいます。

抗酸化作用のある食品を積極的にとる

加齢とともにターンオーバーのサイクルは長くなります。ある程度は仕方ないことではありますが、サイクルが長くなるのを遅らせることは可能です。対策としては、抗酸化作用のある食品を積極的にとること。
例えば、ビタミンCを含むブロッコリーや青菜類、ビタミンEを含むナッツや植物油、ポリフェノールを含むブルーベリーやリンゴ、ココアなどを積極的にとりましょう。

ターンオーバーを理解して肌にいい習慣を身につけよう

肌を美しく健康に保つには、紫外線対策や正しいスキンケアなど、ターンオーバーを整えるための行動を習慣化するのが一番です。
外出するときは、一年を通じて必ず日焼け止めを塗るようにしましょう。また、睡眠時間や栄養バランスに気を配ることを続ければ、ターンオーバーの正常化につながります。ぜひ実践してみてください。

基礎化粧品会社イービーエムが展開する全国の「スキンケアスタジオ」では、お一人おひとりの肌や体質に合った化粧品をベースに、心を込めた美と健康の「手あて」をいたします。肌やスキンケアでお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。