お肌のお悩み・肌トラブル

手の乾燥対策はこれでOK!正しいハンドケアで指先からうるおい肌へ

外気や紫外線にさらされやすい手は、身体の中でも乾燥しやすい部位です。さらに近年では、感染症予防のために手洗いやアルコール消毒の機会が増え、手荒れや手指の乾燥に悩む声が増えています。手は他人の目にもふれやすいため、乾燥してガサガサしていると目立ってしまい、気になる原因に。
手肌にうるおいを取り戻すには、どのようなケアを行えばよいのでしょうか。ここでは、手が乾燥する原因と、効果的な乾燥対策について解説します。

手が乾燥すると起こる症状

皮膚にはバリア機能があり、外部からの異物の侵入や、体内の水分の蒸発を防いでいます。しかし、皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、ダメージを受けやすくなる原因に。その結果、手に乾燥が起きた場合は次のような症状が起こりやすくなってしまいます。

ひび、あかぎれ

手肌が乾燥して柔軟性が失われると、ひびやあかぎれができやすくなります。
ひびとは、乾燥した手や指に亀裂が起こった状態のこと。そして、ひびが進行して亀裂が深くなり、出血や炎症を伴った状態があかぎれです。あかぎれになると見た目も痛々しい上、痛みを感じたり水がしみたりすることもあります。

手湿疹

乾燥した手が外部刺激によってダメージを受けると、かゆみや腫れを伴う湿疹が生じることがあります。
これを手湿疹といい、手洗いや水仕事、手を使う作業を頻繁にする人に多く見られます。初めのうちは小さな水疱がポツポツとできる程度ですが、徐々に数が増え、かき壊すことで悪化するケースも少なくありません。症状がひどくなると、水疱がつぶれてジクジクしたり、手がゴワゴワになって皮がはがれたりすることもあります。

アレルギー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎とは、アレルギーの原因物質にふれることで皮膚が炎症を起こし、かゆみや赤み、腫れ、発疹などが起こることです。
アレルギー症状の原因になるものは、特定の植物や花粉、ゴム、洗剤など、人によってさまざまです。手が乾燥してバリア機能が低下すると、アレルゲンが侵入しやすくなり、アレルギー性皮膚炎が起こる可能性が高まります。

手が荒れてしまう原因

一般的に、「手荒れ」と呼ばれるひびやあかぎれ、手湿疹などが生じる大きな原因は、手肌の水分不足と、それに伴うバリア機能の低下です。では、そもそもの原因である手の乾燥は、なぜ起こるのでしょうか。もしかすると、普段何気なく行っている次のような行動が、手の乾燥を加速させているかもしれません。

素手で行う水仕事

料理や洗濯、掃除、食器洗いなど、日常の家事の中には水やお湯、洗剤を使う作業がたくさんあります。度重なる水仕事を素手で行うことで手の皮膚の皮脂が流されると、肌の水分保持機能が弱まり、乾燥が進んでしまいます。
家庭で水仕事をする機会が多い主婦層に手荒れが起こりやすいため、以前は手湿疹のことを「主婦湿疹」と呼ぶこともありました。そのほか、手を洗う回数の多い調理師や医療従事者、シャンプー・パーマ液などを頻繁に扱う美容師なども、手荒れしやすい職業です。

手の洗いすぎ

手を清潔にするために、手洗いは大切です。しかし、石鹸やハンドソープを使って頻繁に手を洗っていると、肌に必要な皮脂まで洗い流してしまい、手指が常に乾燥した状態に陥りがち。
さらに、手洗い後に自然乾燥やハンドドライヤーで乾かすと、水分が蒸発する際に手のうるおいもいっしょに奪われ、余計に乾燥が進んでしまいます。

アルコール消毒

最近では、感染症対策のために手指をアルコール消毒する機会が増えています。アルコール消毒はウイルス対策には効果的ですが、ウイルスや菌といっしょに肌表面の皮脂膜まで取り除いてしまうのです。
通常であれば、しばらくすると皮脂膜は回復します。しかし、アルコール消毒を頻繁に行っていると十分に皮脂膜が回復できず、常に手が乾燥した状態になってしまいます。

摩擦

手の乾燥は、物理的な摩擦によっても悪化します。新聞紙や段ボールなどの紙類に長時間ふれていたとき、手指の乾燥を感じたことのある人も多いのではないでしょうか。
紙や布などによる摩擦で皮膚が傷つくと、バリア機能の低下を招き、手荒れが起こりやすくなります。

正しい手肌の洗い方

手洗いのしすぎが乾燥を加速させるといっても、汚れやウイルスなどを取り除くためには、手を洗わないわけにはいきません。手の清潔を保ちつつ乾燥から肌を守るには、どのような洗い方をすればよいのでしょうか。正しい手肌の洗い方についてポイントをまとめました。

水温

「汚れがしっかり落ちそうだから」と、お湯で手を洗っている人も多いかもしれません。しかし、熱めのお湯は肌表面の皮脂まで洗い流し、乾燥を加速させるおそれがあります。
手洗い時にはお湯を避け、常温の水を使うようにしましょう。なお、冬に水で手を洗うのがつらい場合は、人肌よりすこし温度が低いくらいのぬるま湯で洗うことをおすすめします。

洗浄剤

洗浄力の強すぎる石鹸やハンドソープは、肌に必要な皮脂やうるおいまで取り除いてしまう可能性があります。手の乾燥を防ぐには、できるだけ低刺激でやさしい洗浄力のものを選んでください。
乾燥や手荒れが気になる人には、マイルドな洗浄力のアミノ酸系洗浄成分がおすすめです。また、セラミドやグリセリンなどの保湿成分が配合されたハンドソープを選べば、手肌をいたわりながらやさしく洗い上げることができるでしょう。

洗い方

汚れや菌が気になるからと、手洗いのときにゴシゴシ強くこすると、摩擦で肌表面を傷つけてしまいます。石鹸やハンドソープはよく泡立ててから、手全体を包むようにして洗いましょう。うまく泡立てるのが難しい場合は、泡タイプのハンドソープを選ぶのもひとつの方法です。
また、洗浄成分が肌に残っていると、湿疹や赤み、かゆみなどの原因になることがあります。手洗いの後は、泡が残らないように十分すすぎを行ってください。

拭き方

手を洗い終えたら、乾いた清潔なタオルやペーパータオルで水分をふき取ります。このときもゴシゴシとこすらず、やさしく拭くことが大切です。
手を濡れたままにしていると、水分の蒸発とともに肌の水分まで奪われてしまい、乾燥が悪化しやすくなります。手に水気を残さないように気をつけ、自然乾燥は極力避けてください。

手の乾燥を対策するには?

ここからは、手の乾燥を防ぐための対策法についてご紹介します。手のかさつきが気になる場合も、正しく対策をすることで、乾燥を改善できることもあります。

保湿を徹底する

乾燥対策の基本は、徹底した保湿ケアです。水仕事や手に摩擦を与えるような作業をした後は、ハンドクリームなどでこまめに保湿を行いましょう。ポイントは、手にかさつきを感じる前にハンドクリームを塗ること。保湿効果の高い尿素配合クリームやワセリン、シアバターなどでしっかりと保湿し、肌の皮脂や水分を逃がさないようにしてください。クリームを塗るときに指先から手のひらまでマッサージしながら塗り込むと、塗り残しを防ぐと同時に血行促進にもつながります。

室内の乾燥対策をする

せっかく保湿ケアをしても、室内の空気が乾燥していると、肌の水分はどんどん失われてしまいます。一般的に、室内で快適に過ごせる湿度は40~60%とされ、湿度が40%を下回ると乾燥を感じやすくなるほか、ウイルスの活動も活発化するといわれています。加湿器などを活用し、部屋の湿度が下がりすぎないように心掛けましょう。加湿器がない場合は、濡れたタオルを吊るしたり、お湯を沸かしたりするだけでも効果的です。

水仕事で熱いお湯を使わない

手肌の皮脂を洗い流さないようにするため、手洗いと同様に、水仕事のときも熱めのお湯を使うのは避けましょう。また、入浴時のお湯の温度にも注意が必要です。肌の乾燥を防ぐには、お風呂のお湯の設定温度は40℃以下がおすすめです。ぬるめにすると寒く感じる場合は、お湯の温度を上げるのではなく、浴室暖房などで浴室を暖め、入浴時間もじっくりと長めに取ることをおすすめします。

水仕事では手袋を使う

食器洗いや風呂掃除などは、長時間水にふれるため指先がふやける上、洗剤や摩擦の刺激で肌にダメージを与えてしまいます。特に、油汚れに強い洗剤は、手肌の油分まで落としてしまう可能性があります。水仕事をする際にはゴム手袋をして、肌のうるおいを守りましょう。このとき、布手袋をつけてからゴム手袋を重ねると、手肌に刺激を与えにくくなります。

ハンドケア用の手袋を装着する

手袋をつけたほうがいいシーンは、水仕事だけではありません。普段露出することが多い手は、冬の乾燥した外気や夏の強い紫外線にも、無防備にさらされやすくなります。外出時には、冬なら防寒用、夏には紫外線対策用に、手袋の装着がおすすめです。暑くて手袋がしにくい場合は、日焼け止めや紫外線カット効果のあるハンドクリームを活用して紫外線による手肌の乾燥を防いてください。
また、一日の終わりにハンドクリームを塗ってからコットンかシルクの手袋をつけて眠ると、手の乾燥を集中的にケアすることができます。

生活習慣を改善する

偏った食生活や睡眠不足、運動不足、ストレスなどは、肌のターンオーバーのサイクルを乱れさせる要因になります。ターンオーバーの乱れは肌のバリア機能の低下を招き、乾燥や肌荒れを加速させてしまいます。
手の乾燥を防ぐには、保湿ケアだけではなく、生活習慣の見直しも重要なのです。

必ずハンドクリームでケアをする

手を洗ったり素手で水仕事をしたりした後は、その都度ハンドクリームを塗りましょう。
もし、べたつきが気になる場合は、日中は軽めのテクスチャーのものを選び、夜寝る前に保湿成分を含んだクリームをたっぷり塗るのがおすすめです。

プロの力を借りる

セルフケアを続けても手荒れや乾燥が改善しなかったり、悪化したりする場合は放置せず、早めに皮膚科を受診しましょう。効果がないにもかかわらず、自己判断で市販薬などを使い続けると、症状を悪化させることにもなりかねません。「ただの手荒れ」と軽く考えず、専門家の力を借りることをおすすめします。
また、ハンドケアを行うサロンで手肌の集中ケアを行うこともおすすめです。普段からのハンドケアに加えて、サロンでプロの施術を受けることで、手肌の乾燥を効果的に防ぐことができます。

手の乾燥対策は日常のハンドケアから

顔のスキンケアはがんばっているけれど、手の乾燥対策には無頓着という人は少なくないかもしれません。しかし、ハンドケアを疎かにすると手の乾燥が進み、ひびやあかぎれ、手湿疹といったつらい症状につながってしまうこともあります。
手がきれいだとネイルも映え、所作まで美しく見えるものです。正しいハンドケアで乾燥から手肌を守り、うるおいを取り戻しましょう。

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この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。