スキンケア・基礎化粧品

セラミドとは?うるおいを守る働きとスキンケアアイテムの選び方

みずみずしいうるおい肌を作るために欠かせない成分として、よく耳にするセラミド。なんとなく肌によさそうなイメージがあるものの、セラミドとはどういったものか、なぜ必要なのかまでは、あまり知られていないのではないでしょうか。
ここでは、セラミドの必要性や効果のほか、セラミドが配合されたスキンケアアイテムの選び方などをご紹介します。

肌のうるおいに欠かせないセラミド

セラミドとは、皮膚の表面の「角層(角質層)」に存在し、角質細胞のあいだで水分をつなぎとめ、肌を乾燥から守る成分です。
角層は肌の表面にあり、0.02mm程の薄さしかありませんが、肌のバリア機能と保湿機能という重要な役割を担っています。角層には、「皮脂膜」「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質」という、肌に元々備わっている3つの保湿成分があり、これらの働きによって肌のうるおいは保たれています。セラミドはこの保湿成分のうち、細胞間脂質の主要成分です。

・皮脂膜
皮脂膜は、皮脂や汗などが程よく混じり合ってできた膜で、角質層の蓋のような役割を果たし、水分が蒸発するのを防いでいます。

・天然保湿因子(NMF)
天然保湿因子(NMF)は角層細胞内にある成分で、水分を取り込んで保持する働きがあります。角質細胞自身の水分を保つための成分です。

・細胞間脂質
細胞間脂質は、角層細胞の隙間にある成分で、主にセラミドで構成されています。細胞間脂質と角層細胞は、よくセメントとレンガに例えられ、角層細胞のあいだを細胞間脂質でしっかり埋めることで、壁となって水分の蒸発を防ぎます。角層のうるおいの約80%は細胞間脂質が守っているとされ、3つの保湿成分の中でも果たす役割は大きいです。

セラミドの働きは大きく2つ

セラミドは、角層の保湿成分の中でも重要な物質です。その働きは、大きく「角層の水分保持」と、外部からの刺激を防ぐ「バリア機能のサポート」の2つがあります。

角層がセラミドで満たされていると、うるおってキメが整った肌になり、肌荒れも起こりづらくなります。反対にセラミドが不足していると、水分が逃げやすくなって肌が乾燥し、肌荒れが起こりやすくなってしまいます。

セラミドはなぜ不足する?


元々、肌にある成分のセラミドは、なぜ不足してしまうのでしょうか。セラミドは、皮膚の新陳代謝の過程で作られ、自動的に細胞間脂質の中に放出されます。その量は一定ではなく加齢などさまざまな要因で減少し、50代のセラミドの量は20代の約半分といわれています。セラミド不足が起こる原因は、主に下記の3つです。

加齢

加齢とともに、生成されるセラミドの量は減少します。セラミドが生成されるターンオーバーのサイクルは、20代ではおよそ28日周期ですが、50代ではおよそ45日周期にまで延びるとされています。サイクルが長くなるにつれて、セラミドの生成量も減ってしまうのです。

ターンオーバーについてはこちらの記事もご覧ください。
ターンオーバーとは?サイクルが乱れる原因と整える方法

肌の乾燥

紫外線ダメージや生活習慣の乱れなどによってターンオーバーのサイクルが乱れると、バリア機能が弱まり、肌が乾燥しやすくなります。肌が乾燥するとセラミドが流出してしまい、セラミドが減ったことが原因でさらに乾燥が進み、ターンオーバーが乱れる…という悪循環に陥りがちです。

摩擦

肌をこすることで、バリア機能を担う角質がはがれてしまい、セラミドの減少につながります。肌は摩擦に弱く、長時間マスクをつけることや、何気なく顔をさわる癖などでダメージを受ける場合も。特に、スキンケアの際は注意が必要で、クレンジングや洗顔は肌をなでるイメージで行いましょう。

セラミドについてはこちらの記事もご覧ください。
セラミドを含む食べ物は?肌の内側から乾燥対策しよう

セラミド配合のスキンケアアイテムを選ぶ際のポイント


うるおった肌に必須のセラミドを保つには、生活習慣を整えたり紫外線対策をしたりして減少を防ぐほか、減少した分のセラミドを補うことが大切です。セラミドを補う方法のひとつとして、スキンケアアイテムで外から補う方法があります。
ただし、一口に「セラミドを配合したスキンケアアイテム」といっても、人の肌に存在するセラミドは12種類あり、どのセラミドがどの程度配合されているかで、スキンケアアイテムの特徴は異なります。

スキンケア用品に配合されるセラミドの種類

スキンケア用品に配合されるセラミドは、原料によって4つのグループに分けられます。

・天然セラミド
天然セラミドは、哺乳類由来のセラミドです。人が元々持つセラミドに似た構造で、肌になじみやすく、高い保湿力があります。スキンケア用品の成分表示では、「ビオセラミド」「セレブロシド」などと書かれています。

・植物性セラミド
植物性セラミドは、米や大豆、トウモロコシ、米ぬか油、ユズの果実などから作られた植物由来のセラミドです。人が持つセラミドとは多少形が違い、製品は比較的安価です。数多くの種類があり、スキンケア用品の成分表示では、「グルコシルセラミド」「ユズ果実エキス」などと書かれています。

・ヒト型セラミド(バイオセラミド)
酵母を利用して、人が持つセラミドに似せて作られたのがヒト型セラミドです。バイオセラミドとも呼ばれ、価格はやや高め。スキンケア用品の成分表示では、「セラミド2」「セラミド3」などと書かれています。

・合成類似セラミド
合成類似セラミドは、セラミドに似た物質を科学的に合成して作られたものです。ほかのセラミドに比べて低価格ですが、その分効果は限定的です。スキンケア用品の成分表示では、「ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド」などと書かれています。

■セラミドの種類と効果

天然セラミドやヒト型セラミドは、高い保湿効果が期待できますが、その分製品の価格も高め。反対に、合成類似セラミドは、保湿効果は限定的ですが、価格は安い傾向があります。
なお、成分表示は配合量の多い順に記載するルールがあり、前のほうに書かれているほど配合量が多いことを表します。

自分に合ったセラミド配合アイテムを見つけよう

セラミドは元々肌に備わった成分で、うるおいのある肌を保つためには欠かせないものです。ただし、さまざまな要因によって徐々に減ってしまうため、減らないようなスキンケアと生活習慣を心掛けるほか、スキンケアアイテムなどで補うことが必要です。
セラミドを配合した製品には多くの種類があり、価格も効果も変わります。使い続けられるかどうか、もしくは自分に合っているかどうかで、セラミド配合のスキンケアアイテムを探してみてください。

基礎化粧品会社イービーエムでは、オンラインのお肌のお悩み相談窓口を開設しました。無料でイービーエムのスキンケアアドバイザーにご相談いただけます。対応時間は祝日を除く月曜から金曜の9:00~17:00。肌やスキンケアでお悩みがある方は、ぜひご利用ください。

この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。