お肌のお悩み・肌トラブル

敏感肌は改善できる?バリア機能を修復して健康な肌に

敏感肌とは、普段なら平気な紫外線や化粧品などの外的刺激に対し、敏感に反応してしまう状態の肌のこと。「肌が乾燥して粉を吹く」「化粧品で肌荒れしてしまう」など、敏感肌に悩む人は少なくありません。敏感肌を改善するには、どのようなケアを心掛ければいいのでしょうか。
ここでは、敏感肌になってしまう原因や、改善するために効果的な方法のほか、スキンケアアイテムの選び方などについて解説します。

敏感肌はどういう状態の肌?

肌が乾燥したり、赤みやかゆみなどが起こったりして、「もしかして敏感肌かも?」と感じている人もいるかもしれません。敏感肌とは、どのような状態を指すのでしょうか。

ちょっとした刺激で肌トラブルを起こす状態

敏感肌という言葉に、医学的な定義はありません。一般的には、肌の感受性が高まり、さまざまな刺激に敏感に反応してしまう状態を敏感肌と呼びます。紫外線や化粧品、空気中のほこりなど、健康な肌状態では特に問題のない刺激であっても、敏感肌では肌トラブルの原因となります。
普段はトラブルがなくても、季節の変わり目やストレスといった要因によって、敏感になることもあるでしょう。また、敏感肌は顔だけとは限りません。首や手足、頭皮といった顔以外の部分でも、敏感肌になる可能性があります。

肌のバリア機能が低下している状態

敏感肌がさまざまな刺激に反応してしまうのは、肌のバリア機能が低下しているからです。
肌は、上から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっており、この表皮の一番外側にあるのが、0.02mm程の「角層」です。角層は、表面を覆う皮脂や、角層細胞に含まれるアミノ酸などの天然保湿因子(NMF)、細胞同士の隙間を埋めるセラミドなどの細胞間脂質によって、肌の水分を保っています。この保湿機能を、「肌のバリア機能」と呼びます。

バリア機能が正常に働いていれば、肌の乾燥を防ぐとともに、紫外線やほこり、細菌などの外的刺激をブロックできます。しかし、肌表面の皮脂が不足したり、天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質が減少したりするとバリア機能が低下し、肌が乾燥して外部からの刺激を受けやすくなってしまうのです。

敏感肌のサインはさまざま


敏感肌の状態になると、乾燥やかゆみ、赤みなど、さまざまな肌トラブルが起こります。ただし、敏感肌のサインはひとつではありません。主に下記のような症状が現れたときは、敏感肌のサインだといわれています。

<敏感肌のサイン>
・肌が乾燥してかゆみやひりつき、赤みが出る
・乾燥して肌が白く粉を吹いたり皮がむけたりする
・化粧水がしみたり、化粧品で肌荒れしたりする
・季節の変わり目に肌トラブルが起こる
・いつも生理前に肌荒れする

敏感肌になる原因は?

肌のバリア機能は、なぜ低下してしまうのでしょうか。バリア機能が低下して敏感肌になる原因には、大きく分けて「外的要因」と「内的要因」の2つがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

外的要因

外的要因とは、肌の外側からの刺激です。下記のような外的要因は、肌のバリア機能を低下させて、敏感肌を招く可能性があります。

・紫外線
無防備に紫外線を浴びると、そのダメージを防ぐために、肌は余分な角質を溜め込んで、「角質肥厚」という状態になります。
角質肥厚を起こすと、肌にうるおいを保つための天然保湿因子(NMF)や、細胞間脂質が足りなくなり、肌表面がごわついたり乾燥したりすることも。乾燥が進むとターンオーバーが乱れ、ますますバリア機能が低下する悪循環に陥ってしまいます。

・花粉
花粉が肌に付着し、それが刺激となって肌トラブルが起こることもあります。特に春先など、花粉が多く飛散する季節に急に肌荒れする場合は、花粉が原因の可能性があるでしょう。春は乾燥する冬を越えて、肌の水分が不足しがちな時期。花粉症でない人でも、花粉で肌荒れを起こす可能性があるのです。

・汗
汗は、蒸発するときに肌の水分を奪います。それが乾燥の原因となり、敏感肌を招くおそれがあります。また、汗をかいたままにしておくことで汚れが付着したり、細菌が繁殖しやすい環境になったりすることも、敏感肌の原因のひとつです。

・誤ったスキンケア
肌をきれいに保とうとして洗顔のときにゴシゴシとこすったり、熱すぎるお湯で流したりすることは、バリア機能を低下させる原因となります。また、洗顔後の保湿が十分に足りないと、やはり肌が乾燥してバリア機能が低下してしまいます。

・肌に合わない化粧品
肌に合わないコスメやスキンケアアイテムなどを使い続けていると、肌がダメージを受け、刺激に敏感になってしまいます。化粧品などを使っていて、少しでも肌に違和感があれば使用をやめましょう。できれば、使用前にはパッチテストを行うことがおすすめです。

・温度や湿度の変化
激しい寒暖差は、肌のバリア機能や保湿機能にダメージを与えます。季節の変わり目に肌荒れしがちなのはこのせいでしょう。エアコンのきいた室内から屋外への移動やマスクの着脱も、急な温度変化の原因になります。また、エアコンは空気を乾燥させるため、肌のうるおいを奪う要因にもなります。

内的要因

敏感肌の原因は、外的要因だけではありません。下記のような内的要因も、敏感肌の原因になる可能性があります。

・ストレス
肌は、ターンオーバーと呼ばれる新陳代謝を繰り返しながら角質細胞を入れ替え、バリア機能を保っています。ストレスや疲労は、ターンオーバーのサイクルを乱す原因のひとつです。ターンオーバーが乱れれば、角層の正常な形成を妨げバリア機能が低下し、敏感肌を引き起こす可能性があります。

ターンオーバーについてはこちらの記事もご覧ください。
ターンオーバーとは?サイクルが乱れる原因と整える方法

・睡眠不足
睡眠不足も、肌のターンオーバーを乱れさせる大きな要因です。ターンオーバーを促す成長ホルモンは睡眠中に分泌されますから、睡眠不足になれば分泌量が低下してしまいます。バリア機能を正常に保つためには、良質な睡眠も重要です。

・栄養バランスの乱れ
偏った食事は、肌の栄養不足を招きます。特に、健康な肌を作るもとになるたんぱく質やミネラルが不足すると、肌本来のバリア機能が失われてしまうでしょう。暴飲暴食や過度の飲酒も、肌へ悪影響を及ぼす原因です。

・加齢
年齢を重ねるに従い、ターンオーバーのサイクルは徐々に遅くなっていきます。また、加齢によって表皮や真皮が薄くなると、外的刺激に対する肌のバリア機能もだんだん衰えるため、敏感肌になりやすくなる可能性があります。

・生理
生理中はホルモンの分泌量が減り、肌が乾燥しやすくなります。また、生理前は皮脂が過剰に分泌されたり、バリア機能が低下したりして肌荒れが起こりやすくなるでしょう。いつもは健康な肌状態でも、生理の前後だけ肌が敏感になる人は少なくありません。

敏感肌を改善する方法


敏感肌に悩んでいる人も、「体質だから仕方ない」などとあきらめる必要はありません。たとえ敏感肌であっても、適切なケアを行えば改善する可能性は十分あります。
ここからは、敏感肌を改善するために心掛けたい対策についてご紹介しましょう。

正しいスキンケア

健康的な肌への第一歩は、正しいスキンケアです。日々のスキンケアでは、肌に刺激を与えないことと、徹底した保湿を心掛けましょう。
洗顔では肌をこすらず、たっぷりの泡でやさしく肌を包むようにして洗います。洗浄力の強すぎる洗顔料は、肌に必要な皮脂まで洗い流してしまうおそれがあるため避けてください。また、洗顔後の肌はそのままにせず、すぐに保湿を。化粧水の後は美容液やクリームを塗って、水分の蒸発を防ぎます。

正しいスキンケアについてはこちらの記事もご覧ください。
スキンケアのやり方はこれでOK!朝と夜で行うひと工夫

年間を通した紫外線対策

紫外線によるダメージは、肌のターンオーバーのサイクルを乱し、敏感肌を招く原因になります。日焼け止めや日傘、帽子などを活用して、しっかり紫外線ケアを行いましょう。紫外線は夏以外の季節や天気の悪い日でも降り注いでいるので、年間を通して対策が必要です。

生活習慣の見直し

不規則な生活によって肌のターンオーバーが乱れると、バリア機能が低下してしまいます。ストレスや疲れを溜めないように心掛け、適度な運動と十分な睡眠時間を確保しましょう。
肌の細胞の修復に必要な成長ホルモンは、睡眠中に活発に分泌されるといわれています。質のよい睡眠のために、眠りに入る前にはテレビやスマートフォン、パソコンの画面を見るのはできるだけ避けてください。

栄養バランスを整える

健康な肌を作るには、栄養バランスの整った食事をとることが大切です。特に、たんぱく質が不足すると、肌のターンオーバーが乱れる原因になります。たんぱく質の吸収を促すビタミンやミネラルなども、積極的にとるようにしましょう。

原因物質を取り除く

敏感肌を改善するには、肌に刺激を与える外的要因を取り除くことも大切です。例えば、睡眠中に肌にふれる枕カバーやシーツはこまめに洗濯し、清潔な状態を保ちます。また、肌が敏感な状態では、髪の毛が肌にふれると、それが刺激になって肌荒れなどを引き起こすこともあります。できるだけ髪が顔にかからないようなヘアスタイルを工夫してください。

敏感肌のスキンケアグッズの選び方

敏感肌の改善を目指すには、普段使用するスキンケアグッズの選び方も大切なポイント。化粧品などを選ぶときには、次のような点を意識してみましょう。

高保湿タイプを選ぶ

敏感肌の人は肌が乾燥し、それによってバリア機能が低下しているケースがほとんどです。化粧水や美容液、クリームといったスキンケアアイテムは、保湿力が高いものを選んでください。セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸などが配合されたものがおすすめです。

低刺激タイプを選ぶ

敏感肌にとっては、健康な肌には刺激にならないものでもダメージになってしまいます。パラベンフリーやアルコールフリー、無添加、無香料など、できるだけ刺激の少ないスキンケアアイテムを使うようにしましょう。化粧下地やファンデーションといったコスメも、敏感肌用の低刺激のアイテムを選ぶことをおすすめします。

正しい対策で敏感肌改善を目指そう

敏感肌になると、肌の乾燥を感じやすくなったり、少しの刺激でも肌トラブルが起こりやすくなったりしてしまいます。
また、普段は健康な肌の人でも、季節の変わり目や花粉シーズン、生理の前後などに肌が敏感になることがあります。敏感肌を改善するには、正しいスキンケアや生活習慣など、日頃から対策を心掛けることが大切です。日々のケアを見直し、健康的な肌を目指しましょう。

基礎化粧品会社イービーエムが展開する全国の「スキンケアスタジオ」では、お一人おひとりの肌や体質に合った化粧品をベースに、心を込めた美と健康の「手あて」をいたします。肌やスキンケアでお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。