お肌のお悩み・肌トラブル

フラーレンとは?美容効果や効果的な使い方を解説【美容成分解説】

皆さんは、フラーレンという成分をご存じでしょうか。とても強力な抗酸化力を持ち、さまざまな美容効果を発揮する、優秀な成分です。
特にシミやシワ、たるみといったエイジングサインが現れ始めた人は、フラーレンを毎日のケアに取り入れるのがおすすめです。ここでは、フラーレンに期待できる美容効果や効果的な使い方のほか、選ぶときのポイントなどについて詳しくご紹介します。

※エイジングケア:年齢に応じたお手入れ。

ビタミンCの100~200倍もの抗酸化力を持つフラーレン

フラーレンは炭素だけで構成され、サッカーボールのような形をしたエイジングケア成分です。その魅力は、なんといっても高い抗酸化力。同じく抗酸化力が高いことで知られるビタミンCの、およそ100〜200倍もあるといわれています。肌の酸化を防ぎ、若々しい肌をキープするために欠かせない成分といえるでしょう。

抗酸化の持続性が高く、活性酸素を吸着して無害化する

フラーレンはほかの抗酸化物質と比べて、持続性が高いことが特徴です。
一般的な抗酸化成分の効き方は、抗酸化成分が身代わりとなって活性酸素(ほかの物質を酸化させる強い力を持つ酸素)化することで、肌を酸化から守るもの。酸化された抗酸化成分は効力を失うため、時間経過とともに効きめが落ちてしまいます。
一方のフラーレンは、活性酸素を吸着して無害化し、掃除のような役割を果たすため、みずからが酸化するわけではありません。そのため、ほかの抗酸化物質よりも高い持続性が期待できるのです。

ノーベル賞を受賞した成分でもある

フラーレンは1985年に、宇宙空間の再現実験を研究していた3人の研究者によって発見されました。彼らはその功績をたたえられ、1996年にノーベル化学賞を受賞しています。

肌老化の原因「酸化」について知ろう

フラーレンの肌への効果を紹介する前に、肌老化の原因について押さえておきましょう。
ピカピカだった金属がさびたり、りんごが黄色く変色したりするのを、皆さんも目にしたことがあると思います。これは、物質と酸素が結びつくことによって起こる、「酸化」という化学反応です。
この酸化反応に似たようなことが、私たちの身体や肌でも起こります。肌が酸化すると、乾燥・シミ・シワ・毛穴の開き・ニキビ・くすみなど、さまざまな肌トラブルや肌の老化が起こるのです。

活性酸素が肌に与える影響は?

肌や身体の酸化反応は、活性酸素によって引き起こされます。活性酸素は、殺菌効果があるため身体にとって必要な存在ですが、過剰に作られると生命維持に必要なたんぱく質やDNAまでも攻撃をして、傷つけてしまうのです。
同じように、活性酸素が肌で発生すると、肌のハリや弾力を司っている線維芽細胞を傷つけたり、コラーゲンやエラスチンを破壊したりします。また、メラニンを刺激するためシミの原因にもなるなど、かなり厄介な存在です。

活性酸素の発生原因は?

活性酸素は、日常で生じるさまざまなストレスによって発生します。例えば、紫外線や大気汚染物質、過度な運動といった外的ストレスや、心労や喫煙といった内的ストレスなどが挙げられます。これらの原因によって発生した活性酸素は、体内のあらゆる物質と結びついて、身体や肌の“さび”につながるのです。
肌をすこやかに若々しく保つためには、活性酸素をいかにケアするかが重要なポイントとなります。

フラーレンの美容効果は?


フラーレンの強力な抗酸化力は、さまざまな美容効果をもたらしてくれます。ここでは、フラーレンの肌への効果をまとめました。

美白ケア・シミケア

活性酸素はメラニンを刺激し、メラニン色素の生成を誘発するためシミの原因となります。活性酸素を防ぐことで、メラニンの生成を抑えることができるのです。
さらに、肌の老化の原因であるAGEs(最終糖化産物)の発生や、黄ぐすみの原因となるカルボニル化(肌の真皮にあるたんぱく質が過酸化物質などによって変性、変色すること)を抑える効果も期待できるため、透明感のある肌に整えていくことが可能です。

シワの改善

活性酸素は肌の弾力やハリを支えるコラーゲンやエラスチンを破壊するため、肌の乾燥やシワ・たるみの原因となります。活性酸素を抑えることで肌のハリ感を保ち、シワの形成を抑制します。

ニキビの予防・毛穴の引き締め

活性酸素は皮脂の過剰分泌を招くため、ニキビや開き毛穴の原因となります。活性酸素を抑えることで皮脂の分泌を整え、ニキビができにくく、炎症による肌荒れを抑える効果も期待できるのです。また、皮脂によって開いた毛穴を引き締める効果もあります。

バリア機能の改善

肌荒れの大きな原因のひとつに、肌の乾燥が挙げられます。乾燥した肌はターンオーバーが乱れ、外的刺激を受けやすくなります。活性酸素は肌のうるおいを保つコラーゲンやエラスチンを破壊するため、乾燥の原因となるのです。
活性酸素を抑えてうるおいを保てる肌に整えることで、バリア機能を改善することができます。

育毛・毛髪修正

頭皮には皮脂腺が多く、紫外線にあたる機会も頻繁です。また、カラー剤やパーマ剤などから外的刺激を受けやすく、活性酸素が発生しやすい環境でもあります。頭皮環境の乱れは髪のパサツキや抜け毛、白髪の原因となりますが、活性酸素を抑えて頭皮環境を整えることで、ツヤのあるすこやかな髪に整えることができるだけでなく、育毛の効果も期待できるのです。

フラーレン配合化粧品を選ぶポイントや効果的な使い方は?


実際に、フラーレンが配合された化粧品を選んだり使ったりする際には、どのようなことを意識すればいいのでしょうか。そのポイントについてまとめました。

フラーレン配合化粧品を選ぶポイント

フラーレン配合製品を選ぶときには、フラーレンを規定値以上(1%以上)配合したフラーレン化粧品のほとんどに付与されている、フラーレンマークを確認しましょう。
フラーレンの物質自体の形を模したサッカーボールのようなマークがついていますので、選ぶ際に確認するのがおすすめです。

ほかの美容成分と併用して効果アップ

フラーレン単体でも高い抗酸化作用がありますが、ほかの抗酸化作用がある美容成分(ビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体、アスタキサンチンなど)と併用することで、さらなる抗酸化力・抗炎症効果が得られることがわかっています。

例えば、ビタミンC誘導体にはコラーゲンの生成を促進する効果がありますが、フラーレンとビタミンCを併用することで、その効果のアップが望めるのです。これは、フラーレンの抗酸化作用によって、ビタミンCは酸化を抑えながらコラーゲン生成に力を注げるからだと考えられます。紫外線に強いフラーレンは、ほかの美容成分が紫外線によって壊れるのを防ぐため、併用することでより高い効果を実感できるのです。

また、フラーレンは紫外線吸収剤の効果を促進する作用があるので、しっかりと紫外線対策をしたい人はフラーレンが配合された日焼け止めを選ぶのもいいでしょう。自分の肌質や肌の悩みに合わせて、美容成分を併用してください。

安全性や選ぶときの注意点

さまざまな美容効果が期待できるフラーレンだからこそ、初めて使う人の中には、肌への刺激などが心配になる人もいるかもしれません。
フラーレンには、水溶性のものも油溶性のものありますが、水溶性フラーレンは比較すると刺激が少ないといわれています。刺激が気になる人や敏感肌の人は、水溶性フラーレンが配合された化粧品を選んでみるといいでしょう。

フラーレンの力でさびつかない若々しい肌を目指そう

若々しくすこやかな肌を保つためには、抗酸化を意識したケアがとても重要です。フラーレンを日常のケアに取り入れることで、高い抗酸化力を味方にエイジングケアが叶うだけでなく、美白、ニキビ、毛穴などの幅広いケアをすることができます。
フラーレンを配合した化粧品はたくさん発売されています。今回ご紹介したポイントをもとに、日々のスキンケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒。 聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学病院、墨田病院などを経て、現在は子育てをしながら産業医として活動している。